警察活動の最前線
被災者に寄り添って
前 宮城県岩沼警察署地域課地域特別警ら係(現 警視庁人事第二課)
久保塚 将志(くぼづか まさし) 警部補

みやぎくん
「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」
これは、東日本大震災後の津波のために殉職された瀬谷志津江警視が、生前自宅に残していた最澄の言葉です。
「自分の幸せを忘れ、人の幸福のために尽くすのが慈悲の究極の姿である」という意味のこの言葉は、私たち出向者を激励してくれるかのようでした。
私は、平成24年2月から13か月間、警視庁から宮城県岩沼警察署に出向しました。出向中、常にこの言葉を胸に、パトロールに限らず、仮設住宅での巡回連絡や防犯寸劇等に取り組み、被災者の方の気持ちに寄り添い、向き合うように努めました。
こうした活動を通じて、被災者の方から「お巡りさんの姿を見ると安心する」、「遠くからありがとう」という声を掛けていただいたときや、悲しみや不安を抱えながらも警察官の姿を身近に見て安心を感じてもらえたときほど嬉しいことはありませんでした。
また、多くの被災者の方々が震災当初から応援で駆けつけた警察官のことを今でも忘れずに感謝し続けてくれていることに、警察官として誇りを感じます。
私はこれからも被災地の一日でも早い復興を願い、帰任してもなお、全力で職務を全うしていきます。

被害者の立場に立った鑑識活動
前 青森県警察本部刑事部鑑識課(現 弘前警察署刑事第一課)
奥崎 典明(おくざき のりあき) 警部補

アピーくん
「素早い出動と基本に忠実な鑑識活動」
これこそが、小規模署で「一人鑑識」を勤め上げた経験から培い、鑑識専務員としての24年間で私が心掛けてきたことです。
こうした心掛けが、昨年、長年の懸案事件の解決につながりました。
その事件は、刃物を持ち覆面姿でアパートに侵入し、恐怖に怯える女性に乱暴する極めて悪性の強い卑劣な犯行でした。
そして、ある深夜、類似事件の申告を受けて機動鑑識班員として出動した際に発見した吸い殻のDNA型鑑定をきっかけに、事件が同一犯人による連続事件と判明しました。さらに、困難とされる吸い殻のフィルターからの指紋検出に成功し、容疑者の特定にまでこぎ着けたのです。被疑者は観念し、余罪も全面自供しました。「ようやく安心して眠れます」という被害者からの感謝の言葉に、鑑識マンとしての苦労が報われたことを実感しました。
近年、全国鑑識専務員の熱意と創意による鑑識技術の進化は目を見張るものがあります。私の警察官生活も残り少なくなりましたが、基本に徹した鑑識活動で国民の安全・安心のため頑張りたいと思います。

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。