5 管区警察局・皇宮警察本部の活動
(1)管区警察局の活動
① 管区警察局の役割
警察庁には、その地方機関として7つの管区警察局、東京都警察情報通信部及び北海道警察情報通信部が設置されている。事務を能率的に処理するため、管区警察局は、警察庁の事務の一部を分担して所掌している。東京都と北海道の区域は、管区警察局の管轄外とされ、必要に応じ、警察庁が直接に指揮監督等を行う。

② 管区警察局の主な業務
管区警察局では、主として次のような業務を行っている。

ア 府県警察に対する監察
管区警察局の監察機能は、平成12年以降の警察改革の一環として強化され、各管区警察局に総務監察部(注)を設置し、管区内の府県警察に対する監察を実施している。
イ 広域調整
広域的な対処を必要とする重要事件の合同捜査・共同捜査、高速道路における広域的な交通規制、交通取締り等の実施等に関し、府県警察に対する指導・調整を行っている。
ウ 大規模災害への対応
大規模災害の発生時には、被災状況等に関する情報の収集・分析に当たるとともに、警察災害派遣隊の派遣等に関する調整を行っている。
エ 警察の情報通信
各都道府県情報通信部等では、警察庁や都道府県警察等を結ぶ情報通信網の整備、管理等を行っている。また、各都道府県情報通信部等にサイバーフォースと呼ばれる技術部隊を設け、サイバー攻撃の実態解明、被害の未然防止・拡大防止等に向けた技術的支援を行っている。
オ サイバー犯罪の捜査の支援
サイバー犯罪に対処するため、府県警察の行う捜索差押え、検証等の現場に臨場して、記録媒体内部の電磁的記録の損壊防止、コンピュータの設定状況等の確認、証拠となる電磁的記録の抽出等の技術支援を行っている。
事例
ファイル共有ソフト「イーミュール(eMule)」を利用した児童売春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノの公然陳列)等事件において、東北管区警察局及び岩手県情報通信部は、岩手県警察への支援を行い、押収品のコンピュータ等を解析し、重要な証拠資料となる児童ポルノのログを明らかにした。
カ 教育訓練
管区警察局に附置された管区警察学校では、主として警部補及び巡査部長の階級にある府県警察の職員を対象とした昇任時教育、専門教育等を実施している。
(2)皇宮警察本部の活動
警察庁に附置される皇宮警察本部は、天皇及び皇族の護衛、皇居、御所等の警備等をつかさどっている。
① 天皇及び皇族の護衛
天皇陛下及び皇族方の御身辺の安全を確保するため、護衛を担当する側衛官(注)が、皇居、御所等はもとより、国内外において常に直近で護衛に当たっている。
平成24年中は、5月に英国女王陛下御即位60周年関連行事御出席のため、天皇皇后両陛下が英国を御訪問された際などに、海外に側衛官を派遣し、御身辺の安全を確保した。

新年一般参賀に伴う護衛警備実施
② 皇居、御所等の警備
皇居、赤坂御用地、各御用邸、京都御所、正倉院等における安全を確保するため、1都1府4県(注)において警戒警備活動を行っている。


③ 国賓等の護衛
国賓として来日した外国要人の皇居参内や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使・公使の皇居参内に際して、騎馬又はサイドカーで護衛に当たっている。

国賓の皇居参内に伴う外国要人の護衛