特集:大規模災害と警察~震災の教訓を踏まえた危機管理体制の再構築~ 

特集:大規模災害と警察~震災の教訓を踏まえた危機管理体制の再構築~


特集に当たって


 平成23年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする国内観測史上最大規模となる「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生し、最大で震度7を観測するなど各地を激しい揺れが襲いました。また、この地震により生じた高い津波が東北地方の太平洋沿岸を始めとする広い地域に押し寄せ、原子力発電所における事故等を引き起こし、政府は、この地震によってもたらされた災害を東日本大震災と命名しました。
 警察では、発災以来、被災県警察を中心に全国警察から多くの応援部隊を派遣して全国警察一体となった体制を確保し、厳しい環境の中で、被災者の避難誘導や救出救助、原子力災害への対応、各種の交通対策、行方不明者の捜索、検視・身元確認、被災地における安全・安心の確保といった幅広い活動に取り組んできました。
 東日本大震災による全国の死者は1万5,859人(余震による死者を含む。)、行方不明者は3,019人(24年6月4日現在)に上るなど、本震災は正に未曾有の大災害であり、極めて広範囲かつ甚大な被害をもたらしており、復旧・復興に向けた取組は今後とも継続していかなければなりません。その一方で、地震だけでなく、大雨、台風、強風及び高潮等の様々な自然災害の脅威に直面する我が国においては、今後いつどのような災害が発生するか分からないことも事実です。
 こうした状況にあっては、本震災からの復旧・復興を進めるための取組を着実に進めると同時に、本震災における様々な措置を検証し、その反省及び教訓を今後の各種施策に確実に反映させることが重要です。
 このような考えから、警察では、23年11月に災害対策検討委員会(委員長:警察庁次長)を設置し、同委員会を中心として大規模災害における警察措置について具体的な検討を行い、各種施策に反映してきました。とりわけ、全国規模での部隊運用を想定した広域的な災害対処体制の強化、各種部隊の災害対処能力の向上、関係機関・団体との連携、大規模災害が発生した際に迅速・確実に活動するための業務継続体制の確立については、確実に成果を上げてきています。そして、これらの取組は、警察を災害時に一人でも多くの国民を守り、被害を少しでも減らすことができる組織とするために、現在も進行中です。
 この特集では、まず、本震災における警察の措置及びその検証について述べ(第1節)、続いて、災害対策検討委員会での議論等も踏まえて現在推進している災害に対する危機管理体制の再構築のための諸対策について記述しています(第2節)。本震災に伴う警察の活動、ひいては災害における警察の役割について認識を深めていただき、今後とも御理解と御協力をいただくとともに、皆様一人一人が自然災害への備えについて考えていただく契機となれば幸いです。

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