第4章 公安の維持と災害対策 

2 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向
 暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、現在の社会経済情勢を組織拡大の好機ととらえ、周囲に警戒心を抱かせないよう暴力性を隠しながら、労働運動等への介入を強めた。
 革マル派(注1)は、「労働者連帯ネットワーク」を立ち上げ、同派の活動であることを隠しながら、非正規労働者、青年労働者、労働組合未加入者等の組織化に取り組んだ。また、東京都内のホテルの元従業員らによる労働争議、「年越し派遣村」等社会的耳目を集める労働・雇用問題に介入する姿勢をみせた。
 中核派(党中央)(注2)は、政府や日本経済団体連合会に対して雇用確保等を訴える集会、デモに取り組むとともに、各地で労働争議に介入した。また、海外の労働組合が主催する会議に代表者を参加させるなど、国際連帯活動にも取り組んだ。さらに、結成以来初めて「綱領草案」を作成し、暴力革命の方針を明示するとともに、労働運動に対する介入、国際連帯活動等に重点を置く姿勢を強調した。
 革労協主流派(注3)及び反主流派(注4)は、日雇労働者の雇用問題に取り組み、それぞれが取り組んでいる成田闘争や反戦闘争にこれらの労働者を動員した。また、革労協反主流派は、平成21年10月には「在日米空軍横田基地に向けた飛翔弾発射未遂事件」を、同年12月には「在日米海軍厚木基地に向けた飛翔弾発射未遂事件」を、それぞれ引き起こした。

注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。
 2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
 3:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。
 4:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

 
図4-10 事件捜査等により判明した「労働者連帯ネットワーク」の実態
図4-10 事件捜査等により判明した「労働者連帯ネットワーク」の実態
 
「在日米空軍横田基地に向けた飛翔弾発射未遂事件」の発射装置(模型)
「在日米空軍横田基地に向けた飛翔弾発射未遂事件」の発射装置(模型)

(2)極左暴力集団対策の推進
 警察では、極左暴力集団に対する事件捜査や非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、ポスター等を用いた広報活動により、国民からの広範な情報提供を求めるなど、各種対策を推進している。
 平成21年中には、極左暴力集団の活動家ら合計61人を検挙した。
 
図4-11 極左暴力集団の非公然アジト発見にご協力を!
図4-11 極左暴力集団の非公然アジト発見にご協力を!

 第3節 公安情勢と諸対策

前の項目に戻る     次の項目に進む