2 不法入国・不法滞在者対策
(1)不法残留者、不法入国者及び不法上陸者等の状況
不法残留者の数については、警察を含む関係機関による総合的な施策により、最近5年間で48.5%減少したものの、就労目的で来日する外国人は依然として多く、不法に就労する者も少なくない。さらに、不法に就労するよりも効率的に金銭を得ることができるとして、犯罪に手を染めるようになる者も後を絶たない状況である。このため、警察では、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の規定(注)に基づく入国警備官への被疑者の引渡しを推進しているほか、入国管理局との合同摘発を積極的に行うなど、取締りを強化している。
表2-14 入管法の規定に基づく入国警備官への被疑者の引渡し(平成16~20年)
図2-22 入管法違反の検挙状況の推移(平成16~20年)
図2-23 国籍・地域別の不法残留者数の推移(平成16~21年)
(2)不法滞在者による犯罪
平成20年中の来日外国人刑法犯に占める不法滞在者(注)の割合は8.6%であるが、罪種別にみると、侵入窃盗では45.0%、侵入強盗では26.7%となるなど、国民に強い不安感を与える身近な犯罪への不法滞在者の関与が顕著となっている。
図2-24 来日外国人刑法犯の検挙人員に占める不法滞在者の割合(平成20年)
(3)不法入国・不法滞在を助長する犯罪の状況
最近5年間の来日外国人による偽造旅券等行使の検挙状況の推移は、表2-15のとおりである。これを国籍・地域別にみると、中国人及びフィリピン人の占める比率が高いことが分かる。この種の事案としては、日本人の配偶者を装い在留資格を不正に取得する偽装結婚事案や、不法滞在者が我が国において合法滞在を装う目的で使用する外国人登録証明書等を偽造し、販売する事案が依然として多発している。
表2-15 偽変造旅券等行使による不法入国検挙人員の推移(平成16~20年)
最近5年間の雇用関係事犯検挙状況の推移は、表2-16のとおりである。この種の事案には、就労あっせん業者や雇用主がかかわっており、暴力団が関与するものもみられる。
表2-16 外国人労働者雇用関係事犯検挙状況の推移(平成16~20年)
警察では、不法入国や不法滞在を助長する犯罪を根絶するため、関係機関と連携して、外国捜査機関との情報交換を積極的に行い、共同摘発や捜査協力を更に推進することとしている。
