第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

第4節 少年の非行防止と健全育成

1 少年非行の概況

(1)少年非行情勢
 平成20年中の刑法犯少年の検挙人員は、5年連続で減少し、昭和31年以来52年ぶりに10万人を下回った。また、刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は11年連続で減少し、昭和33年以来50年ぶりの低い割合となった。しかしながら、同年齢層人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員は成人の5.2倍で、いまだ高い水準にある。
 平成20年中の触法少年の補導人員は前年より減少したものの、いまだ予断を許さない状況にある。不良行為少年の補導人員は前年より減少したものの、14年以降100万人を超える状態が続いている。
 ・ 20年中の刑法犯少年の検挙人員…9万966人(前年比1万2,258人(11.9%)減少)
 ・ 20年中の刑法犯総検挙人員に占める少年の割合…26.8%(前年比1.4ポイント低下)
 ・ 20年中の同年齢層の人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員…12.4人(前年比1.4人減少)
 
図1-55 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成20年)
図1-55 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成20年)
Excel形式のファイルはこちら
 
表1-24 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成11~20年)
表1-24 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成11~20年)
Excel形式のファイルはこちら
 
表1-25 不良行為少年の補導人員の推移(平成11~20年)
表1-25 不良行為少年の補導人員の推移(平成11~20年)
Excel形式のファイルはこちら

(2)平成20年中の少年非行の主な特徴
〔1〕 刑法犯少年
 平成20年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は表1- 26のとおりであり、風俗犯を除き、いずれも前年より減少した。一方、少年による重大な事件が続発し、社会の注目を集めた。
 
表1-26 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成11~20年)
表1-26 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成11~20年)
Excel形式のファイルはこちら

事例1
 無職少年(18)は、20年1月、実母、実弟及び実妹の頸部等をナイフ様のもので突き刺すなどして殺害し、自宅に放火した。同月、殺人罪、現住建造物等放火罪等で逮捕した(青森)。

事例2
 無職少年(18)は、20年3月、駅構内において列車を待っていた者を背後から突き飛ばして線路上に転落させ、入線してきた列車にはねさせて殺害した。同月、少年を殺人罪で逮捕した(岡山)。

〔2〕 再犯者
 20年中の刑法犯少年の再犯者数は、5年連続で減少した。また、再犯者の人口比(注)も同様に減少しているが、成人の再犯者の人口比(1.1)の3.6倍となっている。

注:同年齢層の人口1,000人当たりの再犯者数

 
図1-56 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成11~20年)
図1-56 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成11~20年)
Excel形式のファイルはこちら

コラム4 少年審判傍聴制度の導入について

 少年法の一部改正により、20年12月から、殺人事件等の一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴できることとされた。具体的には、対象事件の被害者等が傍聴を希望し、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と家庭裁判所が判断した場合に傍聴が許可されることとなっている。
 警察では、家庭裁判所や検察庁等と連携し、被害者等への当該制度の周知を図るとともに、被害者等の傍聴希望を把握した場合には、確実に家庭裁判所へ伝達することにより、少年審判傍聴制度の円滑な運用と被害者等の権利保護に努めている。

 第4節 少年の非行防止と健全育成

前の項目に戻る     次の項目に進む