トピックス 

トピックスIII 自転車の安全利用に向けた警察の取組み

 自転車に乗るときは、ルールを守り、安全に利用しましょう。また、歩行者や車の運転者も自転車のルールを知り、お互いに安全を心掛けましょう。

 自転車は、国民の身近な交通手段として、多様な利用者層に多様な用途で利用されていますが、平成19年中の自転車が関連する交通事故件数は17万1,018件で、交通事故件数全体の20.5%を占めるに至るとともに、自転車が無秩序に歩道を通行するなど、ルールを守らない利用実態も目立っています。
 このため、警察では、自転車の交通秩序の整序化に向けて、自転車の通行環境の整備、ルールの周知と交通安全教育、自転車利用者の交通違反に対する街頭指導取締りを柱とする総合的な対策を推進しています。
 
 図III-1 交通事故発生件数と自転車関連事故件数の推移(平成10~19年)
図III-1 交通事故発生件数と自転車関連事故件数の推移(平成10~19年)

(1)自転車に関するルールの見直しと政府を挙げた取組み
 自転車の交通秩序を整序化するに当たり、自転車に関するルールを自転車利用者が遵守できる実効性のあるものとすることなどを目的として、平成19年6月、自転車の歩道通行要件の明確化等を内容とする改正道路交通法が可決・成立しました。これを受けて、7月に中央交通安全対策会議交通対策本部において「自転車の安全利用の促進について」が決定され、自転車の通行ルールの周知徹底や自転車の通行環境の整備に政府を挙げて取り組むこととされました。
 また、改正道路交通法や有識者の意見を踏まえ、「交通の方法に関する教則」の自転車関係部分について大幅な改正が行われ、国民に周知すべき事項が明確化されました。
 
 図III-2 改正道路交通法の概要(自転車利用者対策関係)
図III-2 改正道路交通法の概要(自転車利用者対策関係)

(2)交通秩序整序化に向けた諸対策
 警察では、改正道路交通法の円滑な施行を図るとともに、早期に自転車の交通秩序の整序化を図るため、次の諸対策を推進しています。
〔1〕 自転車通行環境の整備
 警察では、歩行者・自転車等の交通主体が安全に通行でき、かつ、適切に共存できるよう、道路管理者と連携して、自転車専用通行帯の設置、自転車道の整備等、自転車の通行環境の整備を推進しています。
 また、平成20年1月に各都道府県において「自転車通行環境整備モデル地区」を指定し、今後の自転車の通行環境整備の模範となる事業を実施しています。
 
 自転車道の整備例(岡山県岡山市)
自転車道の整備例(岡山県岡山市)
 
 自転車専用通行帯の設置例(福島県福島市)
自転車専用通行帯の設置例(福島県福島市)

〔2〕 自転車利用者に対するルールの周知徹底
 自治体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「交通の方法に関する教則」や交通対策本部決定で定められた「自転車安全利用五則」を活用するなどして、児童・生徒、高齢者、主婦等の幅広い自転車利用者に対して自転車の通行ルール等の周知を図っています。
 
 図III-3 自転車安全利用五則
図III-3 自転車安全利用五則

〔3〕 自転車安全教育の推進
 学校等と連携して、児童・生徒に対する自転車安全教育を推進しており、教育効果の高い教材の作成や「中・高校生に対する自転車の安全利用に関する教育モデル事業」の実施等により、教育内容の充実に努めています。19年中、児童・生徒や高齢者等を対象とした自転車教室を全国で約2万8,000回開催し、約300万人が受講しています。
 また、運転免許保有者に対し、更新時講習において、自転車の通行ルールや自転車の安全確保のため配慮すべき事項等の周知に努めています。
 
 中・高校生に対する自転車安全利用に関する教育モデル事業
中・高校生に対する自転車安全利用に関する教育モデル事業
 
 高齢者を対象とした自転車教室
高齢者を対象とした自転車教室

〔4〕 自転車利用者の交通違反に対する指導取締りの強化
 自転車利用者の交通違反に対する指導警告を強化するとともに、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたり、指導警告に従わず違反行為を繰り返したりするなどの悪質・危険な交通違反に対しては、交通切符を適用した検挙措置を講ずるなど厳正に対処しています。
 また、全国で1,735か所を自転車指導啓発重点地区・路線に指定し、地域交通安全活動推進委員等のボランティアや地域住民等と共同で、街頭における自転車利用者に対する指導啓発活動を推進しています。
 
 自転車に対する指導取締りの状況
自転車に対する指導取締りの状況

 3 自転車の安全利用に向けた警察の取組み

前の項目に戻る     次の項目に進む