第4章 公安の維持と災害対策 

第7節 大衆運動の動向

(1)平和運動
 労働組合、大衆団体等は、国民投票法の成立を前にした平成19年4月12日、「改憲手続き法案の廃案をめざす」等と訴え、日比谷野外大音楽堂に約5,000人(主催者発表)を集め、抗議集会やデモを行った。また、海上自衛隊のインド洋での給油活動を実施するための新法案の国会審議等をとらえ、「憲法違反のテロ特措法の延長・新法反対」等と訴え、10月3日、日比谷野外大音楽堂に約3,500人(主催者発表)を、12月12日、日比谷野外大音楽堂に約1,600人(主催者発表)を集め、抗議集会やデモを行った。
 
 国民投票法成立に対する抗議行動(共同)
国民投票法成立に対する抗議行動(共同)

(2)反原発運動
 平成19年1月に、高知県東洋町の町長が全国で初めて高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地に応募したことから地元住民を中心に反対運動が盛り上がり、4月22日の町長選挙で誘致反対派の候補が前町長に大差を付けて当選した。
 また、3月15日、北陸電力株式会社が志賀原発1号機(石川県志賀町)で11年に臨界状態になる事故が発生したことを隠ぺいしていたのを始め、国内の他の原子力発電所でも故障や不具合が隠ぺいされていたことが判明した。さらに、19年7月16日、新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)で放射性物質の漏えいを含む異常が発生した。こうしたことから、反原発団体は、電力会社による情報開示や原子力発電所の耐震性の見直し等を求める抗議集会やデモを行った。
 
 原子力発電の危険性を訴える抗議デモ(共同)
原子力発電の危険性を訴える抗議デモ(共同)

(3)海外から波及した過激な大衆運動
 1999年(平成11年)の世界貿易機関(WTO)第3回閣僚会議(米国・シアトル)以降顕在化した反グローバリズム運動は、我が国においても、海外の反グローバリズム団体の関連組織が結成されるとともに、人権問題、環境問題等に取り組む非政府組織(NGO)や労働組合、農民団体等が反グローバリズム運動に取り組むなど、広く定着しつつある。これら団体は、海外の活動家との交流やインターネットの活用を通して、国際的な連携を強めている。19年中は、国内においては、5月に京都市で開催されたアジア開発銀行年次総会に際して、「大規模開発事業の中止」等を訴え、対抗集会やデモを行った。また、海外においては、6月のハイリゲンダム・サミットに対する抗議行動等に国内の団体等が参加した。
 また、米国の環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、2月、南極海において、我が国の調査捕鯨船に対し、発煙筒や薬品入りの瓶を投てきしたり、同団体が所有する船舶を衝突させたりするなどの危険な妨害行為を繰り返し行った。同団体は、2008年(20年)1月及び3月にも、我が国の調査捕鯨船に薬品入りの瓶を投てきしたり、活動家が乗り込んだりするなどの妨害行為を行った。
 
 調査捕鯨船に接近するシー・シェパード(2月、南極海)
調査捕鯨船に接近するシー・シェパード(2月、南極海)

 第7節 大衆運動の動向

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