2 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況
平成19年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、組織的犯罪処罰法違反で177件(前年比43件(32.0%)増)、麻薬特例法違反で7件(前年比3件(30.0%)減)であり、暴力団構成員等によるものが、組織的犯罪処罰法違反で33.9%、麻薬特例法違反で71.4%を占めている。
19年中における暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注)別にみると主要なものとしては、ヤミ金融事犯が14件、売春防止法違反が13件、詐欺が11件となっているものの、その他にも、賭博、恐喝、窃盗、わいせつ物頒布等事犯、商標法違反、著作権法違反等と多様であり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリング行為を行っている実態がうかがわれる。
表2-21 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況(平成15~19年)
また、19年中の組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯のうち、7件が来日外国人によるものであった。
事例
日系ブラジル人の男(40)は、17年9月から18年10月にかけて、ブラジルからの旅行客等に大量の医薬品を日本国内に持ち込ませ、宅配便を利用して全国に無許可で販売した上、ブラジル国内の貿易会社と結託し、同社が行っていた日本企業数社との取引の支払を一時的に代理して行い、後日同社がその支払代金と同額の小切手をブラジル国内に居住する被疑者の関係者に対して交付するという手口により、上記行為で得た犯罪収益の一部である約5,000万円を同社の取引先の銀行口座に振り込んで隠匿した。19年1月、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。
なお、ブラジル国内の被疑者の関係者が受け取っていた小切手は、換金された後、関係者間で報酬として分配されていたほか、ブラジルでの医薬品の調達費として再投資されていた(茨城、富山)。
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