第3章 安全かつ快適な交通の確保 

8 道路交通環境の整備による歩行者等の安全通行の確保

(1)交通安全施設等整備事業の推進

 警察では、交通の安全と円滑を確保するため、信号機等の交通安全施設等の整備を進めている。
 平成15年度以降、交通安全施設等、道路、港湾その他の社会資本の整備について、事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するため、従来の事業分野別の長期計画を統合して策定した「社会資本整備重点計画」に定められたアウトカム(成果)目標の達成に向けて、交通安全施設等整備事業の推進に努めている。19年度は、5か年計画であるこの計画の最終年に当たる。
 
 図3-18 主な交通安全施設等整備状況
図3-18 主な交通安全施設等整備状況
 
 図3-19 社会資本整備重点計画
図3-19 社会資本整備重点計画

(2)歩行者等の安全通行の確保

 我が国では、全交通事故死者のうち歩行中・自転車乗用中の死者の占める割合が、欧米諸国と比べて著しく高くなっており、歩行者・自転車利用者の交通事故防止対策が重要な課題となっている。

〔1〕 あんしん歩行エリアの整備
 警察では、道路管理者と協力して、徒歩や自転車で通学する児童や生徒の多い地域、高齢者や障害者が利用する施設の周辺地域、歩行者でにぎわう商店街がある地域等のうち、歩行者・自転車利用者の安全な通行を確保するため緊急に対策が必要な地区796か所を「あんしん歩行エリア」に指定し、通過交通量の減少や走行速度の低下等を目的とした交通規制を行ったり、高齢者、障害者等が利用しやすい信号機、道路標識・道路標示を整備したりするなど、地域の特性に着目した交通安全対策を実施している。
 
 図3-20 あんしん歩行エリアの整備イメージ図
図3-20 あんしん歩行エリアの整備イメージ図

〔2〕 生活道路対策
 あんしん歩行エリアの整備のほか、生活の中心となる住宅街において、道路管理者と連携し、自動車の速度の抑制、道路の形状や交差点の存在の運転者への明示、歩車それぞれの通行区分の明示等を進め、歩車が共存する安全で安心な道路空間を創出するための取組みを推進するなど、交通事故抑止のための施策を推進している。
 
 図3-21 生活道路対策のイメージ図
図3-21 生活道路対策のイメージ図

〔3〕 バリアフリー対応型信号機等の整備の推進
 高齢者、障害者等が道路を安全に横断できるように、音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機等のバリアフリー対応型信号機の整備を推進している。また、道路標識・道路標示を見やすく分かりやすいものとするため、表示板を大きくしたり、自動車の前照灯に反射しやすい素材を用いたりするなどの対策を講じている。警察では18年6月に成立した高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が同年12月に施行されたことを踏まえ、バリアフリー対応型信号機の整備を一層推進することとしている。

 8 道路交通環境の整備による歩行者等の安全通行の確保

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