第4章 安全かつ快適な交通の確保 1 平成17年の交通情勢 (1)道路交通の現況 〔1〕 車両保有台数の増加  我が国の車両保有台数は増加傾向にある。平成17年末には約9,138万台と、昭和54年の1.9倍となった。  図4-1 車種別車両保有台数の推移(昭和51~平成17年) 〔2〕 運転免許保有者数の増加  運転免許保有者数は、年々増加している。また、人口構造の高齢化に伴い、運転免許保有者数に占める高齢者(65歳以上の者をいう。)の割合は年々高くなっている。17年末には12.4%と、昭和54年の6.2倍となった。この傾向は、今後更に顕著になっていくものと考えられる。  ・ 運転免許保有者数(17年末)・・・7,879万8,821人  ・ 運転免許取得可能人口(16歳以上の人口)に占める運転免許保有者数(17年末)・・・男性は1.16人に1人、女性は1.67人に1人、全体では1.38人に1人  図4-2 運転免許保有者数の推移(昭和51~平成17年) 〔3〕 交通量の増加  交通量は増加傾向にあり、16年度末の自動車走行キロ(自動車が走行した距離を表したもの)は、7,817億キロと、昭和62年度の1.4倍となった。  図4-3 自動車走行キロの推移(昭和51~平成16年度) (2)交通事故の発生状況 〔1〕 概況  平成17年中の死者数は6,871人で、昭和31年以来49年振りに7,000人を下回った。また、発生件数及び負傷者数も、3年振りに減少した。  ・ 発生件数・・・93万3,828件(前年比1万8,363件(1.9%)減)  ・ 負傷者数・・・115万6,633人(前年比2万6,487人(2.2%)減)  ・ 死者数・・・6,871人(前年比487人(6.6%)減)  ・ 17年中の交通事故発生から30日以内の死者数・・・7,931人(前年比561人(6.6%)減)  図4-4 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成17年) 〔2〕 近年死者が減少している理由  近年、死者数が減少している要因としては、シートベルト着用者率が向上し事故の被害が軽減されていること、高速で走行する車両の事故が減少していること、悪質・危険性の高い事故が減少していること、歩行中の死傷者の違反割合が減少していることなどが考えられる。 ア シートベルト着用者率の向上   シートベルト着用者の致死率は、非着用者の10分の1であり、シートベルトが事故の被害軽減に果たす役割は大きいと認められる。シートベルト着用者率が5年以降向上していることが、自動車乗車中の死者数が減少している一因であると考えられる。  図4-5 シートベルト着用有無別致死率及び自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率の推移(平成8~17年) イ 事故直前の車両速度の低下   80キロメートル毎時を超える高速の事故での死亡事故率は、80キロメートル毎時以下の41.9倍であるが、こうした高速の事故件数が大きく減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。  図4-6 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成8~17年) ウ 悪質・危険性の高い事故の減少   飲酒運転や最高速度違反による事故の死亡事故率は、全体と比べると飲酒運転が6.9倍、最高速度違反では18.8倍と高くなっているが、これら悪質・危険性の高い事故が大きく減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。  図4-7 飲酒運転・最高速度違反による交通事故の構成率及び死者数の推移(平成8~17年) エ 歩行者の法令遵守   17年中の歩行者の致死率を違反の有無別でみると、違反のある者は4.5%、違反のない者は1.4%となっている。近年、歩行中の死傷者数は横ばい傾向にあるものの、違反のある者の構成率は減少傾向にあり、これが、歩行中の死者数が減少している一因であると考えられる。  図4-8 歩行中死傷者(1当及び2当)の違反構成率及び歩行中死者数の推移(平成8~17年) 〔3〕 交通死亡事故の発生状況 ア 状態別にみた交通事故死者数   ・ 自動車乗車中の死者数が2,722人で最も多く、全死者数の39.6%となっている。   ・ 前年と比較して、特に、自動車乗車中(前年比196人(6.7%)減)及び歩行中(前年比146人(6.5%)減)の減少が顕著である。  図4-9 状態別交通事故死者数(平成16、17年) イ 年齢層別にみた交通事故死者の構成率と人口構成率の比較   後期高齢者(75歳以上の者をいう。)、前期高齢者(65歳以上74歳以下の者をいう。)、若者(16歳以上24歳以下の者をいう。)の順に死者構成率が人口構成率より高くなっており、それぞれ、2.8倍、1.7倍、1.2倍となっている。  図4-10 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成17年) ウ 状態別・年齢層別死者数の特徴   ・ 自動車乗車中の死者数は、高齢者が若者を上回っている(25.9%)。   ・ 自動二輪車乗車中の死者数は、若者が最も多い(31.2%)。   ・ 自転車乗用中の死者数は、後期高齢者が最も多い(34.0%)。   ・ 歩行中の死者数は、後期高齢者が最も多い(41.9%)。  図4-11 状態別、年齢層別死者数(平成17年)