第2節 暴力団対策 1 暴力団情勢  暴力団は、近年、組織実態を隠ぺいする動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を利用した犯罪、企業対象暴力、行政対象暴力等を引き起こすなど、その資金獲得活動を社会経済情勢の変化に対応して多様化・不透明化させている。  また、暴力団は、繁華街・歓楽街においてけん銃を使用した凶悪な犯罪を敢行し、流れ弾により通行人を負傷させる事案を引き起こすなど、依然として市民社会にとって大きな脅威となっている。  このような情勢の下、警察では、暴力団犯罪の取締りの徹底、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)の効果的な運用、暴力団排除活動及び暴力団被害者対策を推進している。  暴力団員に対する義理掛け阻止 (1)暴力団構成員及び準構成員数の推移  暴力団構成員及び準構成員の総数は、平成8年以降微増傾向にあったが、17年末現在約8万6,300人で10年ぶりに減少した。同年中の山口組、住吉会及び稲川会の3団体の暴力団構成員及び準構成員は約6万3,000人と、総数の73.0%を占めており、その寡占化が進んでいる。  中でも、山口組の暴力団構成員及び準構成員は、総数の47.5%(暴力団構成員についてはその総数の50.1%)を占め、山口組への一極集中が顕著となっている。 図3-1 暴力団構成員及び準構成員の推移(平成8~17年) (2)暴力団の解散・壊滅  平成17年中に解散・壊滅した暴力団の数は242組織(暴力団構成員数約1,600人)で、そのうち山口組、稲川会及び住吉会の3団体の傘下組織の解散・壊滅数は149組織、所属する暴力団構成員は約830人と、それぞれ全体の61.6%、51.9%を占めている。