7 通貨偽造犯罪 (1)発見状況  偽造日本銀行券の発見枚数(注)は、平成17年中は1万2,203枚と、前年より1万3,655枚(52.8%)減少したが、年間の発見枚数が1,000枚に満たなかった8年から10年の水準と比較すると著しく増加している。 注:届出等により警察が押収した枚数  また、17年中の通貨偽造に関する犯罪の検挙事件数は80件と、前年より12件(13.0%)減少した。  16年11月には、高度な偽造防止技術を施した新しい図柄の日本銀行券が発行されたが、その偽造事案も発生している。  なお、17年中の偽造米国ドル紙幣の発見枚数は479枚と、前年より139枚(40.9%)増加した。  図2-20 偽造日本銀行券の発見枚数の推移(平成8~17年) (2)特徴的傾向と対策  最近の偽造日本銀行券の中には、対面行使が可能であるほど外観が本物らしいものや、偽造防止技術として新たに導入されたホログラムが付いたものがある。これは、一般に販売されるパソコン、スキャナ、プリンタ等の高性能化が進み、精巧な偽造を容易に行えるようになったためと考えられる。  警察庁では、関係省庁や日本銀行と連携して、ポスターやウェブサイトで、偽造日本銀行券が行使された事例や偽造通貨を見破る方法を紹介するなどして、国民に注意喚起をしている。  また、新500円貨の偽造対策については、日本自動販売機工業会に対して、偽造貨の受入れを防止するための識別装置の改良策等の早急な検討を要請している。 事例  山口組傘下組織構成員(29)ら5人は、17年1月、北海道の神社で、金額1万円の偽造日本銀行券合計約80枚を行使した。同月、偽造通貨行使罪で逮捕した。その後の捜査の結果、同構成員は、16年12月ころ、福島県の東北自動車道のサービスエリアの駐車場で、住吉会傘下組織構成員(28)から、金額1万円の偽造日本銀行券約200枚の交付を受けていたことが判明したため、同年6月、同構成員を偽造通貨交付罪で逮捕した(北海道、宮城、福島、愛知)。