(1)違法・有害情報対策  前節で述べたとおり、インターネット上における違法・有害情報の氾濫が深刻な社会問題となっていることから、警察では、サイバーパトロール等を通じた取締りを行うとともに、関係機関と連携して国民への広報啓発に努めている。また、プロバイダ等と協力して自殺予告事案への対応を図るなど違法・有害情報対策を推進している。 〔1〕 サイバーパトロールを通じた取締りの実施等  都道府県警察では、ウェブサイトや電子掲示板等を閲覧して違法・有害情報が掲載されていないかどうかを調査するサイバーパトロールを実施している。実施に当たっては、警察職員自らが行うほか、都道府県警察から委嘱されたサイバーパトロールモニター等や、特定非営利活動法人(NPO法人)、消費生活センター等の関係機関・団体と連携している。  警察職員及びサイバーパトロールモニターから報告される情報並びに関係機関から寄せられる相談及び情報は、警察本部のサイバーパトロール担当者が一元的に把握して、その詳細を調査・分析している。これにより、インターネット上の違法・有害情報の発信状況を確認し、違法行為を検挙するほか、プロバイダや電子掲示板の管理者等に対して削除等の措置を講ずるよう要請するなど、違法・有害情報の氾濫とそれらによる被害の防止対策を推進している。 〔2〕 出会い系サイトに係る広報啓発  出会い系サイトによる子どもの犯罪被害を防止するため、平成17年9月、リーフレットを作成し、また、同年12月、中学生、高校生、保護者、出会い系サイト利用者や出会い系サイト事業者ごとの犯罪防止のための情報をウェブサイト(http://www.npa.go.jp/cyber/deai/index.html)で公開し、広報啓発活動を推進している。  出会い系サイト犯罪予防ウェブサイト 〔3〕 自殺予告事案への対応  近年、いわゆる自殺サイトにおいて自殺を予告する事案や自殺の呼び掛けを通じて知り合った者同士が自殺する事案が増加しており、深刻な社会問題となっている。  17年10月、業界団体では、警察庁及び総務省と連携し、インターネット上における自殺予告事案への対応に関するガイドラインを策定・公表した。このガイドラインを踏まえ、都道府県警察がプロバイダ等と連携して円滑に対応できるようにするため、インターネット上での自殺予告に係る対処要領を定めた。これらに基づき、都道府県警察は、17年10月5日から18年3月31日にかけてプロバイダや電子掲示板の管理者等から開示を受けた自殺を予告する者等に関する情報を基に、インターネット上の自殺予告事案に対応し、19人の自殺を行うおそれのあった者について説諭等の自殺の防止に係る措置をとった。 コラム1 政府全体で取り組む違法・有害情報対策  政府では、17年2月、インターネット上における違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議(IT安心会議)(注)を内閣官房に設置し、インターネット上の違法・有害情報対策を検討している。特に、いわゆる自殺サイトで知り合った者同士が集団で自殺する事案が継続して発生している状況に加え、高校生がウェブサイトを見て爆発物を製造・使用した傷害事件が発生するなど、インターネット上の違法・有害情報が社会に及ぼす悪影響が問題視されたことから、これらに対する政府としての具体的な対処方針として、同年6月、「インターネット上における違法・有害情報対策について」を取りまとめた。  この対策における主要な項目は次のとおりである。  ・ フィルタリング・ソフトの普及  ・ プロバイダ等による自主規制の支援  ・ 違法・有害情報対策に関するモラル教育の充実  ・ 相談窓口の充実 注:インターネットの普及に伴い違法・有害情報の入手が容易となったことが、犯罪や人権侵害等の情報通信技術に関係する新たな社会問題の発生を助長しているとみられることから、この会議では、関係省庁の緊密な連携の下、国内外のインターネット上の違法・有害情報等に関連する様々な社会問題の実態把握やその対処、国民への周知等を推進している。