第6章 公安委員会制度と警察活動の支え 

5 公安委員会の活動

(1)国家公安委員会
 国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されており、委員は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。
 国家公安委員会は、毎週木曜日に定例の会議を開催しているほか、必要に応じて臨時会議を開催している。会議では、所掌事務に属する事項について、審議、決裁を行うほか、警察庁から重要な事件、事故及び災害の発生状況とこれらに対する警察の取組み、治安情勢を踏まえた政策の方針等様々な警察業務に関する事項について、所要の報告を徴し、警察庁を管理している。平成17年中は、DNA型記録取扱規則等、22の国家公安委員会規則を制定したほか、国家公安委員会・警察庁国民保護計画の策定等を行った。
 また、会議開催日以外にも、委員相互の意見交換、警察運営上の課題に関する検討等の業務に当たるとともに、警察活動の視察等を通じて、警察運営の把握に努めている。
 さらに、国家公安委員会の活動を国民に知らせ、国民の声をその運営に的確に反映させるため、ウェブサイトで定例会議の開催状況等を紹介するとともに、電子メール等により国民からの要望、意見を受け付けている。
 このような国家公安委員会の活動の充実を図るため、警察庁に国家公安委員会会務官が置かれ、その補佐等に当たっている。

事例1
 17年6月、国家公安委員会委員は、滋賀県を訪れ、滋賀県公安委員会と意見交換を行ったほか、少年サポートセンターを視察し、少年補導職員と意見交換を行った。

事例2
 17年12月、国家公安委員会委員長は、広島県を訪れ、自主防犯ボランティアの活動状況を視察し、意見交換を行った。

 
 自主防犯ボランティアと意見交換をする国家公安委員会委員長(左)
写真 自主防犯ボランティアと意見交換

(2)都道府県公安委員会
 都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び政令指定市を包括する県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は、都道府県知事が都道府県議会の同意等を得て任命する。
 都道府県公安委員会は、おおむね月に3回ないし4回の定例会議を開催し、所掌事務に属する事項について、審議、決裁を行うほか、重要な事件、事故及び災害の発生状況等とこれらに対する警察の取組み、各都道府県の治安情勢を踏まえた政策の方針等様々な警察業務について、所要の報告を徴し、都道府県警察を管理している。
 また、定例の会議以外にも、必要に応じて臨時に委員会を開催しているほか、公安委員会補佐室等を活用し、警察活動の視察や国民の要望を聴く活動を通じて、警察に対する管理機能の充実と活性化に努めている。
 
 三宅島の被災状況について説明を受ける東京都公安委員会委員
写真 三宅島の被災状況について説明を受ける東京都公安委員会委員

事例1
 東京都公安委員会は、平成17年1月、三宅島住民に対する避難指示の解除に伴う住民の帰島前に、三宅島警察署を視察して勤務する警察官を激励したほか、島内の被災状況等を視察した。

事例2
 熊本県公安委員会は、17年1月、警察官の大量退職時代の到来に備えた新規採用や外国人による犯罪の増加に備えた外国語の堪能な警察官の採用等について、県人事委員会と意見交換を行った。

事例3
 秋田県公安委員会は、17年11月、警察署の統廃合により警察署から交番となった横手警察署増田幹部交番に配属されている警察官と意見交換を行った。警察官から、パトカーを見かける機会が増え心強く感じているとの住民の声が寄せられていることや、刑法犯の認知件数及び交通事故の発生件数が減少していることについて報告を受け、警察署の統廃合の効果を確認した。

(3)公安委員会相互間の連絡
 国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、相互に緊密な連絡を保つため、各種の連絡会議を開催している。平成17年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を2回開催し、全国の治安情勢や各公安委員会の活動等についての報告や意見交換を行った。
 また、同年中は、各管区及び北海道において、管内の府県公安委員会相互、道公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議が合計14回開催され、これに国家公安委員会委員も参加した。さらに、都、道、府及び指定県に置かれる12の公安委員会相互の連絡会議を開催し、各都道府県の治安情勢やそれぞれの取組みについての報告や意見交換を行った。
 
 公安委員会相互の連絡会議
写真 公安委員会相互の連絡会議

 5 公安委員会の活動

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む