第4章 安全かつ快適な交通の確保

15 高速道路における交通警察活動

(1)高速道路ネットワークの現状
 平成17年末現在、高速道路(高速自動車国道及び指定自動車専用道路をいう。)は、全国で142路線、9,533.4キロメートル(高速自動車国道7,367.5キロメートル、指定自動車専用道路2,165.9キロメートル)が供用されている。
 今後、建設が見込まれる列島横断道路として整備される路線は、中央帯により往復の方向別に分離されていない非分離二車線の供用計画が多く、山間部を通過することから、安全対策や雪氷対策が必要となる。また、地方部で整備される路線は、簡易型インターチェンジの増加が予想されるなど、交通管理の厳しい路線が増加する傾向にある。

(2)高速道路における交通事故の現状
 平成17年中の高速道路における交通事故の発生件数は1万3,775件、死傷者数は2万2,216人と、それぞれ前年より22件、232人減少した。また、死亡事故件数は249件、死者数は285人と、それぞれ前年より23件、44人減少した。
 同年中の高速道路の死亡事故率(交通事故件数に占める死亡事故件数の割合)は、その他の道路の3倍となっている。また、貨物自動車による重大事故が多く発生しており、同年中の高速道路における死亡事故のうち、20.9%が大型貨物自動車によるものであった。
 
 大型貨物自動車の交通事故現場
写真 大型貨物自動車の交通事故現場

事例
 17年11月、普通乗用車が高速道路の本線車道を走行中、前方不注視の大型貨物自動車に追突され、横転して路肩に停止した。また、この大型貨物自動車とは別の大型貨物自動車が、この事故を避けようとして車線を変更した際、大型バスに接触し、他の走行車両に次々と衝突して、路肩で停止していた普通乗用車に後方から追突した。これらの事故により、この普通乗用車に乗車していた7人全員が死亡した(滋賀)。

 
 表4-13 高速道路における死亡事故発生件数・死者数の推移(平成8~17年)
表4-13 高速道路における死亡事故発生件数・死者数の推移(平成8~17年)
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(3)高速道路における交通の安全と円滑の確保
〔1〕 大型貨物自動車の交通事故防止対策
 警察では、最も左側の車両通行帯を大型貨物自動車が通行しなければならないものとして指定する交通規制(第一通行帯通行区分規制)を東名高速道路等9路線の区間(平成18年3月末現在)において実施している。また、道路管理者や関係機関・団体と協力し、大型貨物自動車の交通事故防止に関する広報・啓発に努めている。

〔2〕 適正な交通規制の実施と交通安全施設の整備
 警察では、高速道路の交通規制に当たっては、道路構造、気象条件、交通量、交通事故発生状況等を勘案してその適正を期するとともに、適時適切な見直しを行っているほか、規制内容を認識しやすくするため、取付け位置の変更等の対策を推進している。
 また、道路管理者との間で、建設段階においては道路の線形、ランプウェイの取付け位置等について、供用開始後は融雪・凍結防止装置、高機能舗装等の整備等について協議を行っている。中でも、対向車と衝突する事故が多く、17年中の死亡事故率が完全分離四車線区間等の3.6倍となっている非分離二車線区間については、簡易分離施設の高度化や中央分離帯の設置等の安全対策を推進するよう働き掛けている。
 
 減速レーンマーク(施工前)
写真 減速レーンマーク(施工前)

 
 減速レーンマーク(施工後)
写真 減速レーンマーク(施工後)

〔3〕 逆走対策の推進
 近年、高齢者による逆走交通事故が多発していることから、道路管理者と連携して道路標識・道路標示を改良しているほか、関係機関・団体と協力して広報啓発活動を推進している。

〔4〕 交通指導取締り
 著しい速度超過、飲酒運転を始め、車間距離不保持、通行帯違反等の悪質性、危険性の高い違反に重点を置いた交通指導取締りを実施している。
 
 交通違反の取締り
写真 交通違反の取締り

 
 図4-27 高速道路における交通違反取締り件数の割合
図4-27 高速道路における交通違反取締り件数の割合
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 15 高速道路における交通警察活動

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