第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

第4節 少年の非行防止と健全育成

1 少年非行の概況

(1)少年非行情勢
 平成17年中の刑法犯少年(注1)の検挙人員は12万3,715人(前年比1万1,132人(8.3%)減)と、前年に引き続き減少した。また、刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は32.0%(前年比2.7ポイント減)であった。しかし、同年齢層の人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員は15.9人(前年比0.9人減)と、戦後最悪であった昭和50年代後半と同程度の水準にある。一方、同年中の触法少年(注2)の補導人員は2万519人(前年比328人(1.6%増))と、前年より増加した。

注1:14歳以上20歳未満の者で、刑法犯で警察に検挙されたもの
 2:刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の者(少年法第3条第1項第2号)


 
 図2-40 刑法犯少年の検挙人員、人口比の推移(昭和24~平成17年)
図2-40 刑法犯少年の検挙人員、人口比の推移(昭和24~平成17年)
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 図2-41 刑法犯少年の包括罪種別検挙状況(平成17年)
図2-41 刑法犯少年の包括罪種別検挙状況(平成17年)
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 図2-42 刑法犯少年の学職別検挙状況(平成17年)
図2-42 刑法犯少年の学職別検挙状況(平成17年)
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 表2-31 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成8~17年)
表2-31 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成8~17年)
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(2)平成17年中の少年非行の主な特徴
〔1〕 刑法犯少年の減少
 平成17年中に凶悪犯で検挙した少年の数は1,441人(前年比143人(9.0%)減)、粗暴犯で検挙した少年の数は1万458人(前年比981人(8.6%)減)、知能犯で検挙した少年の数は1,160人(前年比80人(6.5%)減)と、いずれも前年より減少した。一方、少年による重大な事件が続発し、社会の注目を集めた。
 
 表2-32 刑法犯少年の検挙人員の罪種別推移(平成8~17年)
表2-32 刑法犯少年の検挙人員の罪種別推移(平成8~17年)
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事例
 男子高校生(15)は、17年6月、建設会社社員寮管理人室内において、仮眠中の実父(42)の頭部を鉄アレイで殴打するなどし、さらに、実母(42)の胸部を包丁で突き刺すなどしてそれぞれ殺害し、その後、室内に都市ガスを充満させて爆発させた。同年7月までに、殺人罪及び激発物破裂罪で逮捕した(警視庁)。

〔2〕 再犯者率の増加
 17年中の再犯者率(注)は28.7%と、前年より0.6ポイント増加した。再犯者率は、過去10年間増加傾向にある。

注:検挙人員に占める再犯者の割合をいう。過去の非行の罪種又は態様は問わない。


 
 表2-33 刑法犯少年の再犯者率の推移(平成8年~17年)
表2-33 刑法犯少年の再犯者率の推移(平成8~17年)
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(3)校内暴力事件、いじめに起因する事件
 平成17年中に警察が取り扱った校内暴力事件は1,060件(前年比232件増)、いじめに起因する事件は165件(前年比4件増)であった。
 
 表2-34 校内暴力事件及びいじめに起因する事件で検挙・補導した少年の推移(平成8~17年)
表2-34 校内暴力事件及びいじめに起因する事件で検挙・補導した少年の推移(平成8~17年)
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(4)少年の薬物乱用問題
 覚せい剤乱用少年の検挙人員は、1,596人を記録した平成9年以降減少傾向にあり、17年中は427人(前年比39人増)であった。このうち、女子の割合が64.9%に達しており、過去10年間増加傾向にある。また、MDMA(注)等の合成麻薬事犯で検挙した少年は63人(前年比4人減)と、前年より減少したものの、引き続き高い水準にある。
 一部の少年は、覚せい剤が減量や眠気覚ましに効果があるなどと、薬物の危険性や有害性について誤った認識をもっている。また、MDMA等の合成麻薬は錠剤型が多く、使用への抵抗感が希薄になりやすい。取締り法令に触れず多幸感や性的快感等の薬理作用が得られる旨の宣伝がされる違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)も、少年の薬物乱用の原因に挙げられる。

注:化学名「3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(3,4-Methylenedioxymethamphetamine)」の略名。別名「エクスタシー」と呼ばれ、本来は白色粉末であるが、様々な着色がされることが多く、文字や絵柄の刻印が入った錠剤やカプセルの形で密売されている。


 
 表2-35 覚せい剤事犯による少年の検挙人員の推移(平成8~17年)
表2-35 覚せい剤事犯による少年の検挙人員の推移(平成8~17年)
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(5)不良行為少年の補導
 平成17年中の不良行為少年の補導人員は136万7,351人と、前年より5万1,734人(3.6%)減少したが、平成に入ってからでは16年に次いで2番目に多く、依然として高い水準にある。このうち、深夜はいかいで67万1,175人(49.1%)、喫煙で54万5,601人(39.9%)が補導され、この二つで補導人員全体の9割近くを占めた。
 
 表2-36 不良行為による少年の補導人員の推移(平成8~17年)
表2-36 不良行為による少年の補導人員の推移(平成8~17年)
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 第4節 少年の非行防止と健全育成

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