第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

8 政治的・構造的不正事案

 地方公共団体の長や議員らによる贈収賄事件、偽計入札妨害事件、買収等の公職選挙法違反の摘発が続いており、政治的・構造的な不正が顕在化している。
 警察では、こうした事案の捜査体制を整備するとともに、専門的知識及び技能を有する捜査員の育成強化に努めている。また、不正の実態に応じて様々な刑罰法令を適用するなどして、事案の解明を進めている。
 第44回衆議院議員総選挙(17年9月11日施行)における選挙期日後90日現在(17年12月10日現在)の公職選挙法の検挙件数は258件、検挙人員は579人(うち逮捕者139人)と、前回の第43回衆議院議員総選挙期日後90日の時点に比べ、検挙件数は304件(54.1%)、検挙人員は211人(26.7%)減少した。
 
 図2-21 政治的・構造的不正事案の検挙件数の推移(平成8~17年)
図2-21 政治的・構造的不正事案の検挙件数の推移(平成8~17年)
Excel形式のファイルはこちら

事例1
 元衆議院事務局庶務部電気施設課長(58)は、衆議院が発注する電気設備工事に関し、随意契約で受注できるよう有利な取り計らいを受けたい旨の請託を受けた見返りと知りながら、平成14年3月から15年9月にかけて、3回にわたり、電話工事、電気工事等を目的とする会社の役員(53)らから合計100万円を収受した。17年1月、受託収賄罪で逮捕した(警視庁)。

事例2
 元弥栄町長(58)は、15年8月ころ、同町が執行する公共工事の指名競争入札に関し、上下水道施設の設計、施工等を目的とする会社に有利な金額で落札させようと企て、同工事の入札書比較予定価格を教示して同社に同工事を落札させた。17年5月、競売入札妨害罪で逮捕した。
 また、同元町長は、15年9月ころ、医療機器の販売等を目的とする会社の役員から医療機器等の納入に関して便宜を図ったことへの有利な取り計らいを受けたことに対する謝礼等であることを知りながら150万円を収受した。17年6月、収賄罪で再逮捕した(京都)。

事例3
 知的障害者更生施設の指導部長(50)ら14人は、17年9月ころ、期日前投票所において、同施設の入所者が投票するに当たり、候補者の氏名等を記載したはがきを所持させた上、同投票所内に入場させて投票させた。同月、公職選挙法違反(投票干渉)で検挙した(宮崎)。

 第1節 最近の犯罪情勢とその対策

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む