第1章 安全・安心なインターネット社会を目指して

第1章 安全・安心なインターネット社会を目指して

特集に当たって

 本年の警察白書の特集テーマは「安全・安心なインターネット社会を目指して」である。
 我が国においては、「2005年度までに世界最先端のIT国家となる」との目標を掲げたe-Japan戦略等の5年間において、ブロードバンドインフラの整備と利用の広がり等の面で世界最先端を実現するなど、国民生活の利便性が飛躍的に向上し、情報通信ネットワークが社会・経済活動上、極めて重要なインフラとなった。
 一方で、国民生活の安全を脅かすサイバー犯罪は年々増加し、その手口も高度化、多様化している。また、インターネット上に違法・有害情報が氾濫し、これが人の行動や意識に悪影響を及ぼしているとみられる事件も発生している。
 さらに、証券取引や航空管制に関するシステムに障害が発生し、国民生活に多大な影響を及ぼすなど、サイバーテロが発生した際の影響の大きさをうかがわせる事案も発生している。
 このように、サイバー空間はそれだけで完結した世界ではなく、現実社会に様々な影響を与える存在となっている。このことは、今後の我が国の治安を確保する上で、サイバー空間と現実社会とを別々のものとしてではなく、一体として捉えることが不可欠であることを示している。
 そこで、インターネット社会の負の側面を明らかにするとともに、これまで講じられてきた対策の現状と課題を示し、今後、社会全体でインターネット社会の在り方についての真剣な議論を進めるための契機となることを期待して、この特集を組むこととした。
 第1節では、インターネット上に氾濫する違法・有害情報による国民生活、とりわけ少年の健全育成に与える悪影響、各種犯罪におけるインターネットの悪用、サイバーテロの脅威の顕在化等のインターネット社会の諸問題について、一般のインターネット利用者の意識に触れつつ記述した。
 第2節では、インターネット社会の安全確保に向けた取組みについて記述した。
 第3節では、社会全体としての違法・有害情報への対応、巧妙化するサイバー犯罪への対応及び公共の安全を維持するための取組みの強化といった、今後、重点的に推進すべき課題を取り上げ、その方向性等について記述した。
 本特集を通じ、サイバー空間の安全確保に向けた取組みに対する国民一人一人の理解が深まり、安全・安心なインターネット社会が実現することを切に願うものである。

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