第6章 公安の維持と災害対策 

7 右翼の動向と対策

(1) 右翼の動向
 [1] 批判活動の展開
 平成16年中、右翼は、全国各地で、時局問題等をとらえ、政府等に対する批判活動に活発に取り組んだ。
 北朝鮮問題をめぐっては、日本人拉致容疑事案等をとらえ、約1,100団体約3,700人が、街頭宣伝車約1,000台を動員して、北朝鮮、朝鮮総聯(れん)、我が国政府等を批判した。中国をめぐっては、尖閣諸島問題等をとらえ、約1,100団体約3,800人が、街頭宣伝車約990台を動員して、中国、我が国政府等を批判した。
 北方領土問題をめぐっては、「北方領土の日(2月7日)」に約220団体約860人が、街頭宣伝車約270台を動員して、また、「反ロデー(8月9日)」に約340団体約1,800人が、街頭宣伝車約490台を動員して、ロシア、我が国政府等を批判した。

 [2] 右翼関係事件の傾向
 16年中は、4月23日の在大阪中国総領事館に対する街頭宣伝車正門突入車両焼燬(き)事件、9月30日の国会議事堂衆議院通用門前における車両放火事件及び11月1日の大成建設本社けん銃発砲立てこもり事件の3件の「テロ、ゲリラ」事件が発生し、右翼構成員等5人を逮捕した。また、14年10月から15年11月にかけて発生した「建国義勇軍国賊征伐隊」構成員らによる広域にわたる連続銃撃・脅迫等事件24件を、16年1月までに検挙し、全面解決した。
 16年中の右翼による違法行為の検挙件数は1,700件、検挙人員は2,243人と、いずれも過去最高を記録した。これらの事件のうち、右翼運動に伴って発生した事件の検挙件数は346件、検挙人員は768人と、全検挙件数の20.4%に過ぎない。

 
図6-7 「テロ、ゲリラ」事件の検挙状況(平成7~16年)

図6-7 「テロ、ゲリラ」事件の検挙状況(平成7~16年)
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図6-8 右翼関係事件の検挙状況(平成12~16年)

図6-8 右翼関係事件の検挙状況(平成12~16年)
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(2) 右翼対策の推進
 [1] 「テロ、ゲリラ」事件の未然防圧に向けた違法行為の検挙
 警察は、右翼による「テロ、ゲリラ」事件の未然防圧を図るため、銃器犯罪や資金獲得を目的とした犯罪を中心に、様々な法令を適用して、違法行為の徹底検挙に努めている。
 平成16年中は、右翼及びその周辺者から、合計33丁(前年比9丁減)の銃器を押収した。最近5年間に押収した249丁のうち、暴力団と関係を有する者からの押収が53.4%を占めている。

 [2] 街頭宣伝車対策の推進
 警察では、16年中、市民の平穏な生活に支障を与える悪質な街頭宣伝活動に対して、暴騒音規制条例に基づき、停止・中止命令148件、勧告266件、立入り62件を行ったほか、国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律違反で1件、3人を検挙した。
 また、名誉毀(き)損罪、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等、街頭宣伝活動に伴う事件で74件、226人を検挙するなど、様々な法令を適用して事件検挙に努めた。

 
街頭宣伝車の取締り
街頭宣伝車の取締り

事例1
 右翼団体幹部(47)ら10人は、鉄鋼会社事務所付近の路上で、同社を誹謗中傷する内容の横断幕を車体に掲げた街頭宣伝車を使用し、大音量で録音テープを再生するなどして、同社を誹謗中傷し、業務を妨害した。16年4月、威力業務妨害罪及び名誉毀損罪で逮捕した(香川)。

事例2
 右翼団体幹部(54)ら14人は、団体名を告げ、個人商店等を対象に39都府県にわたり無差別に電話により書籍等の購入を迫り、資金を得ていた。16年12月、特定商取引に関する法律違反及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反で逮捕した(大阪)。

 7 右翼の動向と対策

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