第4章 組織犯罪対策 

4 銃器情勢

 我が国の銃器情勢は、銃器発砲事件の発生件数が高水準で推移し、その多くに暴力団の関与が認められるほか、けん銃を使用した強盗その他の事件の認知件数が過去最多となるなど、依然として厳しい状況にある。

(1) 銃器発砲事件の発生状況
 平成16年中の銃器発砲事件は104件(前年比35件減)、それによる死者は17人(前年比18人減)、負傷者は21人(前年比11人減)と、いずれも過去最少であった。このうち、暴力団等によるとみられるものは85件(前年比19件減)と、全発砲事件の81.7%を占めた。
 中には、暴力団の対立抗争に関連するとみられる発砲事件により、暴力団関係者宅の隣家が銃撃され、住人が割れたガラス片で負傷するという事例もみられた。

 
図4-7 都道府県別銃器発砲事件の発生状況(平成16年)

図4-7 都道府県別銃器発砲事件の発生状況(平成16年)

事例
 16年2月21日と22日の2日間に、1都3県において、山口組に絡む暴力団同士の対立抗争に関連するとみられる発砲事件が合計14件発生した。このうち4件について、被疑者10人を殺人罪等で逮捕した(警視庁、栃木、埼玉、福岡)。

 
図4-8 銃器発砲事件の発生状況と死傷者数の推移(平成7~16年)

図4-8 銃器発砲事件の発生状況と死傷者数の推移(平成7~16年)
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(2) けん銃を使用した事件
 平成16年中のけん銃(けん銃様のもの(注)を含む。)を使用した事件の認知件数は277件と、前年より35件増加し、8年以降9年連続で200件を超え、過去最多となった。
 罪種別では、殺人が36件と、前年より9件減少したものの、強盗(126件、前年比27件増)、恐喝(15件、前年比8件増)、脅迫(19件、前年比8件増)等が増加した。


注:けん銃らしきものを突き付け、見せるなどして犯行に及んだ事件において、被害者、参考人等の供述等により、けん銃と推定されるもの

 
発砲現場
発砲現場

 
図4-9 けん銃使用事件の認知件数の推移(平成7~16年)

図4-9 けん銃使用事件の認知件数の推移(平成7~16年)
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事例1
 16年5月、消費者金融会社の店舗に会社員(26)が押し入り、店長にけん銃を発射して腹部を負傷させた上、店舗内の金庫から現金約280万円や財布、腕時計を強取し、逃走した。17年1月、強盗殺人未遂罪等で逮捕した(三重)。

事例2
 16年6月、地下鉄駅構内で、無職の男(64)が駅員にけん銃を発射して腹部を負傷させた上、所持品を強取し、逃走した。同月、犯行に使用したけん銃を持って警察へ出頭したことから、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)違反及び強盗殺人未遂罪で逮捕した。その後の捜査の結果、同人が同年5月に発生した別の強盗殺人事件の被疑者であることが判明したため、強盗殺人罪で逮捕した(警視庁、神奈川)。

 第3節 薬物銃器対策

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