5 知的財産権侵害事犯や保健衛生事犯等の取締り (1) 知的財産権侵害事犯の現況と取締り  平成15年中の知的財産権侵害事犯の検挙件数は789件、検挙人員は407人で、以下のような特徴がみられた。  ・ 偽ブランド事犯では、仕出し国が判明した押収品のほとんどは、アジア諸国から国際郵便、手荷物等として密輸されたものであった。販売形態は、来日外国人による街頭販売が目立った。  ・ 海賊版事犯では、パソコンの高性能化を背景に、会社員や学生等の一般のパソコン利用者が海賊版CDやDVDを作成し、販売する事犯が目立った。  ・ ネットワーク利用事犯では、インターネット・オークションを利用した偽ブランド品・海賊版の販売事犯が約9割を占めたほか、Winny(注1)等のファイル共有ソフトを利用した公衆送信権侵害事犯がみられた。 注1:不特定のコンピュータ間でファイルデータを共有・交換するためのプログラム。ファイルが暗号化されるなど匿名性が高い。 表3-35 知的財産権侵害事犯の法令別検挙状況の推移(平成11~15年) 事例1 15年6月、千葉県内の繁華街の露店において、販売する目的で偽ブランド品(鞄等)を所持していたイスラエル人を商標法違反で現行犯逮捕するとともに、15年12月までに、露天商グループを構成していた者(イスラエル人ら4人)や仕入先と密売を行っていた者(韓国人2人)を検挙し、偽ブランド品約1万2,000点を押収した(千葉)。 押収した偽ブランド品  警察では、権利者と連携して、知的財産権侵害事犯に対する取締りを推進しているほか、外国捜査機関との情報交換、権利者の外国での偽ブランド・海賊版対策等の取組みへの支援、不正商品対策協議会(注2)と連携した知的財産権の保護及び不正商品の排除等の取組みを推進している。 注2:昭和61年に、不正商品の排除及び知的財産の保護を目的として、知的財産権侵害に悩む各種業界団体らにより設立された任意団体。関係機関と連携し、シンポジウムの主催や各種イベントへの参加を通じて、知的財産保護のための広報啓発活動、海外における不正商品販売の実態調査、海外の法執行機関に対する働き掛け等を積極的に行っている。 事例2 15年5月に不正商品対策協議会が開催した「不正商品防止キャンペーン「ほんと?ホント!フェアin札幌」」では、警察庁職員が、最近の検挙事例を交えながら、司会者との対話形式で知的財産権保護の重要性や取締り状況等について説明を行ったほか、○×形式のクイズを通じて、不正商品に関する知識及び排除の必要性等について解説した。 ほんと?ホント!フェアin札幌