日本警察50年の軌跡と新たなる展開  現行警察法が制定されて50年が経過した。  昭和29年に誕生した現行警察制度は、旧来の制度に対する反省と検討の上に構築されたものであり、他に例をみない独特の制度である。その後50年間、警察は、幾多の困難な治安事象に立ち向かい、様々な行政改革の要請にも適切に対応してきた。その過程で部分的な制度の見直しは行われつつも、警察制度の基本的枠組みは堅持され、我が国に適した制度として定着している。これは、公安委員会による警察の民主的管理が適正に機能していること、自治体警察を基本とし、国と地方の役割分担が適切であること、政治的な中立が確保されていることなどによるところが大きい。50年の歴史は、「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定める」という警察法の2つの目的が着実に達成されてきたことを示すものといえよう。  そこで、この機会に、日本警察が歩んできた道程を再確認することとした。第1節では、現行警察制度の誕生と見直しの経緯を整理して紹介した。第2節では、戦後の日本警察が直面した治安事象とその対策について、おおむね10年ごとに回顧し、考察した。これらを踏まえ、第3節では、今後の警察行政の展開について、その方向性や在り方を検討した。  警察制度を更に充実させ、深刻な治安情勢に対処していくためには、今後とも、時代の要請に真摯に耳を傾け、足らざる部分はこれを補いつつ、制度の基本的な枠組みについても、常にその効果を検証していくことが重要である。本特集は、そのような取組みの第一歩となるものである。