(5) パトロールの強化  国民意識調査の結果にもみられるように、現在、国民が最も強く望んでいる地域警察官の活動はパトロールである。  これを受けて、交番・駐在所やパトカーの地域警察官は、事件・事故の発生状況を分析した上で、犯罪が多発している場所や時間帯に重点を置いたパトロールを行っている。パトロールに当たっては、不審者に対する職務質問、危険箇所の把握、犯罪多発地域の家庭や事業所に対する防犯指導、パトロールカードによる情報の提供等を行っている。  〔1〕 交番・駐在所の地域警察官によるパトロール  交番・駐在所の地域警察官は、徒歩や自転車、オートバイ、小型警ら車、ミニパト等で管轄地域のパトロールを行っている。  平成16年4月、警察庁が交番の地域警察官を対象に実施したアンケート調査(以下「地域警察官意識調査」という。)(注)によると、9割近くの者が「犯罪予防のための夜間のパトロール」を重点的に行っていると答えており、次いで「少年非行等の予防のための繁華街でのパトロール」(47.0%)、「通学路、公園等子供の多い場所でのパトロール」(43.0%)となっている。 注:地域警察官意識調査は、各都道府県警察から規模の大きい3警察署を選択し、そこで交替制勤務を行っている交番の地域警察官のうち、勤務年数が10年以上で、階級が警部補以下の者1,947人に対して勤務実態、「空き交番」に関する意識等に関するアンケートを行ったものであり、1,904人(97.8%)から回答を得た。 図1-8 パトロールを重点的に行っている時間帯及び場所(複数回答)  〔2〕 パトカーの地域警察官によるパトロール  パトカーの地域警察官は、警察署や交番・駐在所を拠点に、地域の事件・事故の発生状況や、交番・駐在所の地域警察官の活動状況に応じて、警察署の管轄する地域のパトロールを行っている。 パトカーによるパトロール 事例 15年9月、深夜パトロール中のパトカーの地域警察官が、空き巣が多発している地域を重点的に警戒していたところ、無人の会社事務所の横に駐車している不審な車両を発見した。会社事務所の周辺を確認したところ、窓ガラスが割られており、中に侵入していた男が窃盗目的で会社事務所に侵入したことを自供したため、窃盗未遂罪で逮捕した(北海道)。  〔3〕 職務執行力の強化  15年中の地域警察官による刑法犯検挙人員は30万7,228人で、警察による刑法犯の総検挙人員の80.9%を占めている。 図1-9 地域警察官による刑法犯検挙人員の推移(平成11~15年)  このような検挙実績を更に向上させるため、警察では、地域警察官の職務質問の技能、書類作成の能力等の強化を目的とした研修・訓練を実施するとともに、卓越した職務質問技能を有する者を選抜して、警察庁指定広域技能指導官又は都道府県警察の職務質問技能指導員として指定し、職務質問技能の指導者の育成等に当たらせている。 職務質問技能指導員による指導