第5章 組織犯罪対策の推進 

(2) 来日外国人による薬物事犯

 〔1〕 イラン人薬物密売組織
 平成15年中のイラン人の覚せい剤事犯検挙人員は109人で、56人(前年比33.9%減)減少した。このうち、営利犯(営利目的所持及び営利目的譲渡をいう。)は41人で37.6%を占め、依然としてイラン人が、密売(営利)目的で覚せい剤事犯に深くかかわっている状況がうかがわれる。
 イラン人密売人は、厳しい取締りにより警戒感を強めており、繁華街等での無差別的な密売は減少しているが、携帯電話を利用して客に接触場所を指定する密売が多数敢行されている。また、イラン人薬物密売組織と暴力団が密接に関係している事例もみられた。

事例
警視庁と厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は、15年3月までに、都内繁華街で薬物密売を行っていたイラン人から場所代として現金を徴収していた住吉会傘下組織の組長(57)、四次組織の組長(53)らとイラン人(38)らを麻薬特例法違反で検挙した。

 
表5-13 イラン人の薬物事犯検挙人員の推移(平成11~15年)

表5-13 イラン人の薬物事犯検挙人員の推移(平成11~15年)
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図5-10 来日外国人による覚せい剤事犯の検挙人員に占める営利犯(平成15年)

図5-10 来日外国人による覚せい剤事犯の検挙人員に占める営利犯(平成15年)
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 〔2〕 来日外国人による薬物事犯の増加と国籍の多様化
 15年中の来日外国人による薬物事犯検挙人員は858人で、17人(前年比2%増)増加した。
 このうち、覚せい剤事犯は534人(前年比19人減)、あへん事犯は8人(前年比19人減)、大麻事犯は185人(前年比3人減)で、いずれも前年と比べて減少したが、麻薬及び向精神薬事犯は131人で、58人(前年比79.5%増)増加した。
 国籍別の検挙状況は、イラン人が135人、フィリピン人が130人、ブラジル人が121人で、ここ数年間、イラン人、フィリピン人、ブラジル人の検挙人員が多い状態が続いているが、中国人(78人)、ベトナム人(56人)、タイ人(55人)等の検挙人員も増加しており、検挙者の国籍が多様化している。

 第3節 薬物銃器対策

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