2 最近の特徴的犯罪
(1) いわゆるオレオレ詐欺
平成15年5月以降、息子その他の親族を装うなどして電話を掛け、交通事故の示談金等の名目で現金を要求し、動転した被害者に指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどしてだまし取る、いわゆるオレオレ詐欺(注)の発生が目立っている。
その態様は様々であるが、電話の声だけでは相手方が誰であるかを判別しにくい点を悪用していること、切迫した事情がある旨を慌てた口調で訴えたりして冷静に判断・確認をする余裕を与えないことなどの特徴が認められる。だまし取る名目は、交通事故の示談金が最も多く、次いで、借金の返済、妊娠中絶の費用等となっている。多くの場合、振込先として他人名義・架空名義の預貯金口座が用いられている。
15年中の認知件数は6,504件(うち未遂が2,185件)、被害総額は約43億2,000万円、検挙件数は179件、検挙人員は58人であった。
注:電話口で突然、「ばあちゃん、オレ、オレ、助けてくれ。金が必要なんだ。」などと申し立てる手口から、一般に「オレオレ詐欺」と呼ばれるようになった。
図4-11 いわゆるオレオレ詐欺の認知件数の推移(平成15年)
表4-1 いわゆるオレオレ詐欺の形態(詐欺文言)別認知件数(平成15年)
このほか、いわゆるオレオレ詐欺と同様に、電話等で誘拐等を偽装し、肉親等を案ずる心理状態につけ込んで恐喝をする事件も多発している。15年中の認知件数は131件(うち未遂が84件)、被害総額は約7,600万円、検挙件数は7件、検挙人員は20人であった。
事例
無職の男(21)らは、15年4月ころ、数回にわたり被害者方に電話を掛け、同人の息子になりすまし、「俺だけど、今、交通事故を起こした。○○円で示談できる。相手の口座に振り込んでくれないか。」などと嘘を言い、同人をして電話の相手側が息子本人であり、緊急に金の融通を依頼してきたものと誤信させ、現金合計数百万円を銀行口座に振り込ませた。15年5月、詐欺罪で検挙した(警視庁)。
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