第3章 生活安全の確保と警察活動 

(2) 少年サポートセンターを中心とした非行防止対策の推進

 警察では、少年サポートセンターを全都道府県警察に設置し、そこに少年補導職員(注1)や少年相談専門職員(注2)を配置して、以下のような総合的な非行防止対策を推進している。平成16年4月末現在の設置数は全国181箇所で、そのうち55箇所は、少年や保護者が気軽に相談できるよう警察施設以外の施設に設置している。


注1:少年相談、継続補導、被害少年の支援等の専門的・継続的な活動を行うため、全国に約1,000人の少年補導職員が配置されている。
注2:複雑な少年相談事案の処理や少年相談担当職員への指導、助言等を行うため、全国に約100人の少年相談専門職員が配置されている。

 〔1〕 街頭補導活動
 少年の不良行為を早期に発見し、適切な措置を講じるため、ボランティアや学校の教職員と合同で、盛り場や公園のように非行が行われやすく、犯罪被害に遭うおそれも高い場所で、深夜はいかいや喫煙等を行っている少年に対する街頭補導活動を実施している。

 
盛り場での街頭補導活動

盛り場での街頭補導活動

 〔2〕 継続補導・継続的支援
 非行少年や不良行為少年を取り巻く家庭、学校、交友関係その他の環境が改善されるまで、少年サポートセンターで面接をしたり、家庭訪問を行ったりして、繰り返し立直りに向けた助言・指導を繰り返し行っている。
 また、いじめや性犯罪の被害を受けた少年に対しては、心の傷がいやされるまで、継続的に悩みを聞いたり、カウンセリングを行ったりしている。

事例1
少年サポートセンターでは、非行少年等を対象に、ホスピス(終末期医療)研修を行い、死に直面しているがん患者に接することによって、命の大切さや自分の生き方を真摯に考えさせるきっかけを提供している。この研修に参加した少年の中には、研修後に病院でボランティア活動を始めた者もいる(広島)。

 〔3〕 情報発信活動
 学校で薬物乱用防止教室や非行防止教室を開催するほか、地域住民や少年の保護者が参加する少年非行問題に関する座談会を開催するなどして、少年非行、少年の犯罪被害の実態や少年警察活動についての理解を促している。

事例2
学校教諭と警察職員が協力して、小中学校において非行防止教室を開催し、非行事例を分かりやすくパネルで示し、それを題材として生徒と議論をした。参加した生徒や保護者からは、「もう一度参加したい」、「全ての保護者が参加すべき」などといった感想が寄せられた(石川)。

 〔4〕 専門的な知識・技能の向上を図るための研修
 少年補導職員、少年相談専門職員に対し、カウンセリングの技法に関する講習を実施しているほか、職員を専門課程のある大学院へ派遣したり、部外の専門機関が開設する心理学関係の研修を受講させたりすることにより、知識及び技能の向上を図っている。

 
少年サポートセンターを中心としたネットワーク

少年サポートセンターを中心としたネットワーク

 〔5〕 関係機関・団体とネットワークの構築
 学校、児童相談所その他の関係機関・団体と平素から緊密に意見交換を行い、少年や家庭等への支援を充実強化するためのネットワークの構築に努めている。

 第3節 少年の非行防止と健全育成

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