第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(3) 都市化の進展に伴う社会問題への対応

 高度経済成長により国民の生活水準は大きく向上したが、大量生産・大量消費型の経済は、様々な公害問題を引き起こした。45年のいわゆる公害国会以降、公害関係法令が順次整備されたが、警察でも、工場廃液による水質汚濁や悪臭原因物の大量投棄等の取締りを強化し、急増する公害関係の苦情に対応するとともに、49年には警察庁保安部に公害課を設置して体制を強化した。また、自動車による大気汚染、騒音及び振動に対しては、45年に道路交通法が改正され、法の目的に「道路の交通に起因する障害の防止に資すること」が加わり、交通公害の防止を図るための規定が整備された。
 また、好景気を反映した享楽的風潮の高まりにより、個室付浴場業やストリップ劇場等が増加し、さらに、マイカー普及の副産物として、モーテル営業が幹線道路の周辺に急増した。これらの弊害を防止するため、41年に個室付浴場業、ストリップ劇場等が、47年にモーテル営業が風俗営業等取締法の規制対象とされた。
 このほか、47年には、企業の合理化と人手不足を背景に急速に発達してきた警備業について、続発するガードマンの不適正事案を防止するため、警備業法が制定された。

 
排水溝で検査を行う捜査員、対策本部の新設

排水溝で検査を行う捜査員、対策本部の新設

 第2節 日本警察50年史

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