第1章 地域社会との連帯 

(2) 自主防犯活動に必要な4つの支援

 防犯ボランティア団体が新たに結成され、その活動が地域社会に根付いていく過程を分析すると、その活動を活性化するためには、治安問題への関心を呼び覚まし、又は一定の関心のある者に参加・実行を促す働き掛けを行うとともに、活動を効果的で実践しやすいものとするための取組みや、活動の継続に必要な環境の整備を推進することが重要であると考えられた。そこで、警察では、防犯ボランティア団体調査で明らかとなった諸団体のニーズも参考にしながら、今後、次のような4つの支援策を講じていくこととする。

 〔1〕 地域住民を守るための情報の提供
 国民が犯罪被害に遭わないようにするための対策を講じ、また、防犯ボランティア団体が効果的に活動するためには、自らの生活圏内でどのような犯罪が発生しているかを正しく把握することが不可欠であることから、警察が有する犯罪情報・地域安全情報を、電子メール、ミニ広報誌、マスコミ等様々な媒体を用いて提供していく。

 〔2〕 防犯活動に踏み出すためのきっかけづくり
 「子どもが登下校時に事件に巻き込まれないか心配だ」、「ひったくりが多発していると聞いて夜道を歩くのが怖くなった」といった危機意識を抱いていても、防犯対策に必要な知識を得、賛同者を募ってボランティア活動を開始することは必ずしも容易でないことから、講習や訓練の機会を設け、必要なノウハウを提供し、誰もが実践しやすい防犯活動の普及を図っていく。また、防犯に関する悩みや関心を持つ者に的確なアドバイスができるよう、相談を受け付ける体制を一層充実させていく。

 〔3〕 効果的な防犯活動のための連携の強化
 警察官が防犯ボランティア団体と合同で街頭をパトロールし、パトロール活動に際して配意すべき事項や重点的にパトロールすべき場所を教示するなど、防犯活動を効果的に行えるようにするためのアドバイスを行っていく。また、防犯ボランティア団体が相互に情報交換を行い、活動のノウハウを共有することのできるネットワークづくりを進めていく。

 〔4〕 安定した活動を支える基盤づくり
 地域社会全体の利益に資するボランティア活動が、一部の参加者の献身的な努力に依存することなく、安定的かつ円滑に継続できるようにするため、公益的な観点から、行政による活動拠点の確保、ジャンパー、懐中電灯、防犯ブザー等の装備資機材の提供、活動に必要な経費の援助等の基盤づくりを推進していく。

 
図1-48 地域住民による自主防犯活動に対する支援

図1-48 地域住民による自主防犯活動に対する支援

 第2節 治安回復に向けた地域社会との協働

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