第1章 地域社会との連帯 

(1) 交番・駐在所の歴史

 我が国に交番・駐在所が誕生したのは、明治時代である。
 明治4年、明治政府は、東京で3,000人の羅卒(らそつ)(現在の警察官)を採用し、屯所(とんしょ)(現在の警察署)を中心にパトロール等を行わせることとした。
 その後、東京警視庁が設置された7年には、羅卒(らそつ)を巡査と改称するとともに、巡査を東京の各「交番所」に配置した。ここでいう「交番所」には、当初は、現在の交番のような施設は置かれておらず、巡査が活動する場所として指定がなされているだけであった。巡査は、交代で屯所(とんしょ)から「交番所」まで行き、そこで立番等の活動を行った。
 同年8月、東京警視庁がこの「交番所」に施設を設置することを決定し、そこを拠点に周辺地域のパトロール等を行うこととなった。以降、施設の置かれた「交番所」が増えていき、14年には、「交番所」は「派出所」と改称された。
 「派出所」が全国に設置されるようになったのは21年のことであり、同時に、「駐在所」も設置された。「派出所」の施設を拠点に交替制勤務を行う警察官と、「駐在所」の施設に居住しながら勤務する警察官が、地域社会の安全の確保に当たるという、交番・駐在所を中核とする現在の地域警察の原型がここに生まれた。
 それから100年以上の月日を経て、平成16年4月1日現在、全国に交番は6,509か所、駐在所は7,592か所設置されている。この数は、全国の市町村数の約5倍であり、正に全国津々浦々に交番・駐在所が設置され、地域住民の生活に密着した警察活動の拠点となっている。

 
大正時代の交番(派出所)

大正時代の交番(派出所)



 
現在の交番

現在の交番

 第1節 地域社会と交番・駐在所

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