犯罪被害給付制度  犯罪被害給付制度は,通り魔殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死亡又は重障害という重大な被害を受けたにもかかわらず,公的救済や損害賠償を得られない被害者等に対して,国が一定の給付金を支給するものであり,昭和56年1月1日に施行されて以来,被害者等の被害の軽減に重要な役割を果たしてきた。  しかしながら,地下鉄サリン事件等の無差別殺傷事件の発生等を契機に,被害者の置かれた悲惨な状況が広く認識されるに伴い,犯罪被害給付制度の拡充を始めとして,被害者に対する支援を求める社会的な気運が急速な高まりをみせてきた。  このような状況を踏まえ,平成13年4月,犯罪被害給付制度の拡充等を内容とした犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律が成立した。この法律改正等によって,重傷病給付金の創設,遺族給付金への被害者負担額の付加,障害給付金の障害等級の拡大及び給付基礎額の引上げが図られ,13年7月から施行されている。改正後の犯罪被害給付制度の概要は,図9-11のとおりである。 図9-11 犯罪被害給付制度の概要(平成13年7月1日施行の新制度)  犯罪被害者等給付金の申請は,住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行い,これに基づき,都道府県公安委員会が支給に係る法定要件を確認するとともに,犯罪被害に関する事実関係等を明らかにし,犯罪被害者等給付金を支給するかどうか裁定する。  犯罪被害者等給付金の申請から支給までの流れは,図9-12のとおりである。 図9-12 犯罪被害者等給付金の申請から支給までの流れ  なお,犯罪被害給付制度の運用状況は,表9-7のとおりである。 表9-7 犯罪被害給付制度の運用状況(昭和56(制度発足)~平成14年)