(2)警察の行う環境対策 1)環境対策のための交通規制  警察では,特に,道路交通騒音対策,振動対策等の観点から, ・ 通過車両の走行速度を低下させ,エンジン音等を低く抑えるための最高速度規制 ・ エンジン音等の大きい大型車を沿道から遠ざけるための中央寄り車線規制 等の対策を,沿道地域の交通公害の状況や道路交通の実態に応じて実施している。 大型貨物車の中央寄り車線規制 2)交通管制技術の高度化  警察では,深刻化する交通公害の低減を図るため, ・ 交通状況に即応した信号機の制御等による交通の円滑化 ・ きめ細かな交通情報の提供による交通流・量の誘導及び分散 ・ バス優先の信号制御等によるマイカー需要の低減と交通総量の抑制 等高度な交通管制技術を活用した対策を講じている。 慢性的な交通渋滞 コラム4 「環境にやさしいカーナビゲーション装置の普及促進」  3メディア対応型VICS車載機(注1)は,運転者にリアルタイムの渋滞情報等を提供するほか,車両の走行状況に関するデータを光ビーコンを介して交通管制センターへ送信し,そこで作成される情報の正確性を高める機能を有している。このようにして作成,提供された正確な情報は,交通流・量の誘導及び分散を通じ,交通公害の低減に効果を発揮している。こうしたことから,平成14年2月には,いわゆるグリーン購入法(注2)に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針に,環境対策に資する物品として同車載機が追加された。 (注1) 光ビーコン,電波ビーコン及びFM多重放送の3つのメディアにより,リアルタイムの渋滞情報等を提供するカーナビゲーション装置 (注2) 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律。製品やサービスを購入する際に,環境を考慮して,環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することを推進する。 3)環境対応型交通管理プロジェクト  警察では,学識経験者,関係省庁,地方公共団体等と連携し,地区全体の交通公害の発生を極小化させるための交通管理施策の在り方について検討を進めている。  14年度からは,東京都と神奈川県の都県境付近をモデル地区として,交通流データと大気汚染データをリアルタイムで交通管制センターに集約し,その相関関係を分析するとともに,信号制御の高度化,交通情報板を用いたう回誘導,都県境を越える信号制御の連動等により交通公害を低減するプロジェクトを推進している(図5-23)。 図5-23 環境対応型交通管理プロジェクト