道路交通のIT化 (1)警察によるITS(高度道路交通システム)  警察では,最先端の情報通信技術等を活用して交通管理の最適化を図るITSとして,UTMS(新交通管理システム)の整備を推進している。また,そのキーインフラである光ビーコン(注1)を,都市部の主要な一般道路等をおおむねカバーできるよう整備することを目指している。 (注1) 通過車両を感知して交通量等を測定するとともに,車載のカーナビゲーション装置等と交通管制センターの間の情報のやりとりを媒介する路上設置型の赤外線通信装置 1)公共交通の通行を支援するシステム ・PTPS(公共車両優先システム)(注2)  バス専用・優先レーンの設定等の交通規制を行うとともに,バスがなるべく停止しないように進行方向の信号を優先的に青にすることにより,一度に多くの者を輸送することができ,年少者や高齢者も多く乗車するバスの定時運行と利便性向上を図るシステム(図5-19)。  平成14年度末現在,27都道府県で整備 図5-19 公共車両優先システム (注2)PTPS:Public Transportation Priority Systems ・MOCS(車両運行管理システム)(注3)  光ビーコンにより収集したバス,貨物車等の事業用車両の走行位置等の情報を事業者に提供することにより,事業者が行う車両の運行管理を支援するシステム。  14年度末現在,7道府県で整備 (注3)MOCS:Mobile Operation Control Systems 2)緊急車両の通行を支援するシステム(図5-20) ・FAST(現場急行支援システム)(注4)  人命救助その他の緊急業務に用いられる車両を優先的に走行させる信号制御等を行うことにより,現場到着時間の短縮及び緊急走行に伴う事故防止を図るシステム。  平成14年度末現在,5都府県で整備 図5-20 緊急車両の通行支援 (注4)FAST:FAST emergency vehicle preemption systems ・HELP(緊急通報システム)(注5)  人工衛星を利用して位置を測定するGPS技術を活用することにより,自動車乗車中の事故発生時等に車載装置等を通じてその発生場所の位置情報等を通報するシステム。  14年度末現在,40都府県で整備 (注5)HELP:Help system for Emergency Life saving and Public safety コラム3 「救急用車両等の通行支援」  平成15年3月から大阪市で運用開始したFASTは,警察用車両のほか,大阪市消防局の救急用車両と日本赤十字社の血液搬送用車両をシステムの対象に加えた。導入路線も,警察署,消防署,救急病院等が多数立地する地域を選定している。  試験運用の結果,平均して,赤信号に対面して交差点を通過する回数をおおむね半減させ,緊急走行の所要時間を約14%短縮する効果が得られることが確認された。