組織窃盗事件の深刻化とその対策 (1)組織窃盗事件の深刻化  警察では,平成9年4月以降,組織窃盗対策(注)を推進している。14年末現在で,各都道府県警察で組織窃盗事件として316事件を認定し,来日外国人や暴力団員を含む被疑者3,867人を検挙し,6万3,420件(被害総額805億7,918万円相当)を解決している。 (注)組織窃盗とは,多数の被疑者が,首魁による指揮統制の下に,下見,窃取,盗品の運搬,処分等各行為を分担又は共同して行う窃盗犯罪をいう。  また,各都道府県警察が認定した組織窃盗事件のうち,特に重要な55事件を警察庁登録組織窃盗事件として登録し,全国警察に情報提供を求めるなど,組織壊滅を主眼とした捜査を強化し,うち45事件を検挙・解決している。  14年の特徴としては,建設機械等を使用して現金自動預支払機(ATM)等を機械ごと盗み出すという大胆な窃盗事件が多発しており,14年中は57件(前年比48件増)の発生があった。 事例1  12年5月から14年2月までの間,来日中国人の男(27)らは,窃盗組織をつくり,東北から中部,四国の広域にわたり,主としてスーパーマーケットを対象として金庫を搬出する窃盗を繰り返していた。9月までに,被疑者30人を窃盗罪等で検挙し,14都県下における金庫破り事件等約300件の犯行を確認し,組織を壊滅した(静岡,長野,山梨,岐阜,愛知,三重,滋賀,香川)。 事例2  14年6月,男(38)他2人は,大阪市内において,窃取した油圧ショベル等を使用してATMを破壊し,現金約490万円を窃取した。11月,窃盗罪で検挙した(大阪)。