(4)ドイツ ア 犯罪団体の結成罪  ドイツ刑法第129条第1項は,その目的若しくは活動が犯罪行為の遂行に向けられた団体を設立した者,又はこのような団体に構成員として関与し,そのために構成員若しくは支援者を募り又はこれを支援した者は,5年以下の自由刑又は罰金に処することとし,同条第3項で,第1項の罪のうち,設立の罪については未遂犯を罰することとしている。さらに同条第4項は,第1項及び第3項の罪について,行為者が首謀者若しくは黒幕の一人であるとき,又はその他特に重い事情があるときは,6月以上5年以下の自由刑を科することとし,重罰化を図っている。  また,ドイツ刑法は,一定の犯罪について,当該犯罪の「連続的な実行のために結合した団体の構成員として実行したもの」又は「連続的な実行のために結合した団体の構成員として,団体の他の構成員の協力の下で実行したもの」について,刑を加重することとしている。加重処罰規定が設けられている犯罪は,通貨偽造(第146条第2項),小切手偽造(第152条a第2項),わいせつ文書の頒布(第184条第4項),児童売買(第236条第4項第1号),窃盗(第244条第1項第2号,第244条a第1項),強盗(第250条第1項第2号),恐喝(第253条第4項),盗品譲受(第260条第1項第2号,第260条a第1項),マネー・ローンダリング罪(第261条第4項),詐欺(第263条第3項第1号),文書偽造(第267条第3項第1号),公的身分証明書の偽造予備(第275条第2項),同未遂(第276条第2項),賭博(第284条第3項第2号),(自由)競争妨害(第300条第2号)及び贈収賄(第335条第2項第3号)である。