ア 第一線の警察官が感じている暴力団情勢の変質  過去10年における暴力団の最大の変化について質問したところ,組織実態又は活動実態の不透明化(潜在化)(46.0%),資金獲得の巧妙化(25.4%),主要3団体の寡占化(21.1%)を挙げるなど,第一線の警察官は敏感に暴力団の変質を感じ取っている(図1-33)。 図1-33 過去10年間の暴力団の変化として最も大きなもの  また,暴力団の活動が不透明化した結果,多くの警察官が暴力団と暴力団の関係企業(48.0%),えせ同和行為者・えせ右翼(22.9%),国際犯罪組織(20.3%)等の暴力団以外の団体との関係が深まっていると回答している(図1-34)。 図1-34 過去10年間で暴力団が関係を深めている団体  暴力団の主な資金獲得活動及び最近,暴力団の進出している表の経済活動の双方について質問したところ,それぞれ貸金業等という回答が最も多く,第一線の警察官は,暴力団の資金獲得活動が巧妙化していると感じている。このほかにも株取引・会社経営等の経済取引(29.7%),産業廃棄物等収集,運搬,処理(19.7%)等への進出を実感している警察官が多数に上った(図1-35,図1-36)。 図1-35 現在,暴力団の資金獲得活動で,主流になっているもの(二つ回答) 図1-36 最近,暴力団が進出している表の経済活動  第一線の警察官は,このような暴力団情勢の変化を実感するなかで,暴力団対策が困難になった点として,犯罪が巧妙化・潜在化した(71.4%),暴力団員が警察官と接触することを嫌うようになった(48.0%),組織的な罪証隠滅,犯人蔵匿が顕著となった(44.0%)を挙げるなど,暴力団内部からの情報収集の困難化を指摘する声が大きい(図1-37)。 図1-37 暴力団対策が困難になった点(複数回答)