カ マレーシア人カード偽造グループ  我が国でクレジットカードに係る犯罪を行うグループは,中国人(香港を含む。)からなるグループとともにマレーシア人のグループ(以下「マレーシア人グループ」という。)が目立っている。マレーシア人グループについては,偽造クレジットカードの原料となるカード原板(いわゆる生カード)をマレーシアから大量に我が国に密輸入している状況や,カードデータをマレーシアを始めとした海外から送らせている状況がみられる。  クレジットカードに係る犯罪には,データのスキミング,偽造クレジットカードの作出,売買,使用等の過程があり,マレーシア人グループは,これらのうちのいくつかを専門に行うグループとすべてを行うグループとがあるとみられるが,いずれも便宜上中国人や日本人と連携している状況がみられる。  一部の行為のみを行うグループには,マンションの一室を「偽造工場」とし,完成したカードは中国人及び日本人からなる偽造クレジットカード使用グループに1枚数万円で貸し渡し,同使用グループが商品の騙取及び古物商への売却をして得た現金から6~7割を徴収していた例,完成したカードはマレーシア人及び日本人からなる偽造クレジットカード使用グループに1枚数万円で売却していた例等がみられる。  一連の過程をすべて行うグループの場合でも,偽造を行うマレーシア人の首領の下,偽造クレジットカードで騙取した品物の換金処分を担当する日本人幹部がおり,更にその下の偽造クレジットカード使用役にもマレーシア人と日本人がいる例があるなど,利益追求のために巧妙に役割分担をしていることがうかがわれる。  また,マレーシア人グループには中国系のマレーシア人が多くみられ,これらの者が上記のような中国人との連携や共犯関係の一因となっているものと考えられる。  偽造クレジットカードの行使時における手口は,都市部だけでなく,レンタカーを利用するなどしていわゆるヒットアンドアウェイ方式により地方都市に出向いて広域的に敢行している実態がみられる。また,あらかじめインターネットを利用して主だった大型電機店,ショッピングセンター等の位置を確認した上で,電化製品,カメラ,新幹線の回数券等,高価かつ換金しやすいものを選んで騙取し,それらの品物をコンビニエンスストアから宅配便で幹部の指示により東京や大阪に発送しているなどの例がみられる。 事例  マレーシア人を中心とするクレジットカード偽造グループは,国内の中国エステ店や海外でスキミングされたデータをスキミンググループから1件数万円で買い取り,当該データを,海外から密輸入したカード原板に記録して偽造クレジットカードを完成させ,一方,中国人を中心とする偽造クレジットカード使用グループが,完成したカードを借り受け,日本人の「買い子」を利用して家電量販店等においてノート型パソコン,デジタルカメラ等の高額商品を騙し取り,当該商品を古物商に売却し,売却益の6~7割をクレジットカード偽造グループに還元していた。  13年4月ころから14年2月ころまでの間に偽造クレジットカード使用グループが1都1府7県にわたって商品を騙取し,売却して得た収益は約8,000万円に上り,14年6月までに,支払用カード電磁的記録不正作出,詐欺等で,マレーシア人3人,中国人4人,日本人2人を検挙した(警視庁,静岡)。