第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ 

(3)犯罪被害者等早期援助団体の指定制度

 被害者に対してきめ細かな支援を実施するためには,民間被害者支援団体の役割が極めて重要である。しかし,民間被害者支援団体の社会的な認知度が十分でないことから,被害者が民間被害者支援団体に対して支援を求めることをちゅうちょしてしまう場合がある。また,被害を受けた直後の被害者は,多くの場合に混乱やショック状態にあって,自ら判断して,民間被害者支援団体に支援を要請することが極めて困難であることから,十分な支援が受けられない状況にある。
 このような状況を改善するため,犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律において,犯罪被害等の早期軽減に資する事業を適切かつ確実に行うことができると認められる非営利法人を都道府県公安委員会が犯罪被害者等早期援助団体に指定する公的認証制度や犯罪被害者等早期援助団体が被害者等に対して能動的にアプローチできるように警察本部長等が犯罪被害者等早期援助団体に対し,被害者等の同意を得て,当該被害者等の氏名及び住所その他当該犯罪被害の概要に関する情報を提供できる制度が盛り込まれ,14年4月から施行されている。
 14年5月,社団法人被害者支援都民センターが東京都公安委員会から,12月,社団法人いばらき被害者支援センターが茨城県公安委員会から,それぞれ犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けている。
 なお,平成14年度の税制改正において,寄附金控除等の対象となる特定公益増進法人及び相続財産を贈与した場合に相続税が非課税とされる法人の範囲に,犯罪被害者等早期援助団体として指定された民法法人が加えられた。これに基づき,11月,社団法人被害者支援都民センターが特定公益増進法人の認定を受けた。

事例
 殺人事件において,都内在住の遺族が精神的に不安定になっており,カウンセリングを希望したことから,警察から社団法人被害者支援都民センターに対して遺族に関する情報が提供され,同センター所属のカウンセラーによるカウンセリングが行われた。

 

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