教育訓練と職務執行
(1)教育訓練
警察官には,逮捕,武器使用等の実力行使の権限が与えられており,また,自らの判断と責任で緊急に事案を処理しなければならない場合も多いことから,適正・妥当に職務を執行するための良識と確かな判断能力,実務能力が必要とされる。このため,警察では,警察学校と職場において,職務倫理に関する教育と幹部教育を最重点として,各級警察官の資質と能力の向上に努めている。また,凶悪犯罪の増加,少年非行や不法滞在外国人,暴力団による組織犯罪が深刻化するなど,最近の治安情勢の悪化にかんがみ,柔道,剣道,逮捕術,けん銃等術科訓練の充実強化を図っている。
◇警察学校における教育訓練~教育対象者の階級及び職に応じた教育訓練の実施
○採用時の教育訓練……………… |
新たに採用された警察職員に対し,人間性のかん養,警察職員として必要な基礎的知識や技能を修得させるための教育訓練 |
○昇任時の教育訓練……………… |
各階級に昇任した警察職員に対し,幹部としてそれぞれの階級及び職に必要な知識と技能を修得させるための教育訓練 |
○専門分野に関する教育訓練…… |
特定の分野に関して高度の専門的な知識と技能を修得させるための各種の教育訓練 |
これら教育訓練の効果を高めるため,各警察学校が連携して,教授内容,教授方法等に関する調査・研究を推進している。
◇職場における教育訓練~警察職員個々の能力,職務内容に応じた教育訓練の実施
職場においては,警察職員の能力開発の基本的な手法として,上司等による個人指導を始め,各種の研修会・講習会の開催,グループ討議等の教育訓練を積極的に行うとともに,各種資格取得奨励制度等の自己啓発を支援するシステムの拡充に努めている。特に,専門的実務能力の向上を目指し,卓越した専門的技能や知識を有する職員を「警察庁指定広域技能指導官」に指定し,専門的な技能指導に当たらせるなど,伝承教育に力を入れている。また,犯罪の国際化に的確に対応するため,職員を国内外の研修機関等に派遣し,語学力と国際捜査能力の向上を図っている。
このほか,国民の立場に立った親切な職務執行を推進するため,民間企業への派遣研修,部外講師による応接マナー講習会等を行っている。