右翼の動向と対策
(1)右翼の動向
1)時局問題や領土問題をとらえ活発な批判活動を展開
右翼は,時局問題や領土問題をとらえ,政府等に対する批判活動に活発に取り組んだ。
○北朝鮮問題をとらえた批判活動
平成14年中,全国各地で,約1,700団体約5,800人が,街頭宣伝車約1,600台を動員して,日本人拉致事件や核開発をとらえ,北朝鮮,朝鮮総聯,政府等を批判した。
○靖国神社問題をとらえた批判活動
靖国神社問題では,官房長官の私的諮問機関が国立戦没者追悼施設の建設を検討していることをとらえ,「代替施設は,靖国神社の英霊を蔑(ないがしろ)にする」などと批判した。
○北方領土問題をとらえた批判活動
「北方領土の日(2月7日)」に約200団体約1,000人が,街頭宣伝車約320台を動員して,また,「反ロデー(8月9日)」に約290団体約1,800人が,街頭宣伝車約460台を動員して,ロシア及び政府を批判した。
2)右翼関係事件の傾向
○「テロ,ゲリラ」事件の検挙
14年中は,1月18日の「NHK京都放送局における人質立てこもり事件」等2件の「テロ,ゲリラ」事件が発生したが,いずれも被疑者を逮捕している(図6-5)。
図6-5 右翼「テロ,ゲリラ」事件の検挙状況(平成5~14年)
○違法行為の増加及び悪質化
14年中における右翼による違法行為の検挙は,1,691件,2,217人で,年々増加する傾向にあり,件数,人員とも過去最高を記録した(図6-6)。
図6-6 右翼関係事件検挙状況(平成10~14年)
このうち,資金獲得を目的とした犯罪の検挙は,475件,862人で,全検挙件数の28.1%を占めた。
また,殺人,強盗等の凶悪犯や暴行,傷害等の粗暴犯の検挙は,376件,641人であるほか,覚せい剤等の薬物犯罪の検挙も158件,158人に上り,これら検挙は,全検挙件数の31.6%に及ぶなど,本来の右翼運動からかけ離れた事案も多くみられた。
3)地域住民の生活の平穏を害する街頭宣伝活動
右翼の中には,企業やその経営者,自治体等の糾弾活動と称して街頭宣伝車を利用して大音量かつ執拗(よう)な街頭宣伝活動を行い,騒音被害や交通渋滞を引き起こし,地域住民の生活の平穏を害しているものもある。
その多くは,被害者の嫌悪感,恐怖心等につけ込んで金員や利権を得ることが目的とみられる。