第2章 生活安全の確保と警察活動 

知的財産権侵害事犯・保健衛生事犯等の取締り

(1)知的財産権侵害事犯の現況と取締り

 平成14年中の知的財産権侵害事犯の検挙では,韓国等で製造された偽ブランド品が国際郵便や手荷物として密輸され,販売される事案が目立ったほか,インターネットの普及に伴い,これを利用した不正商品の販売事犯や公衆送信権侵害事犯等が増加している(表2-38)。

 
表2-38 知的財産権侵害事犯の法令別検挙状況の推移(平成10~14年)

表2-38 知的財産権侵害事犯の法令別検挙状況の推移(平成10~14年)
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[偽ブランド品の販売]
 フリーマーケットや繁華街の露店,雑貨店等で販売される偽ブランド品の多くは,海外から持ち込まれたものであり,これらの密輸入や販売には,外国人が関与している例が多いことが判明している。

事例1
 バッグ販売業者(62)らは,14年8月以降10月までの間,自己が経営する店舗において,偽ブランド品(ショルダーバッグ等)を販売した。10月,商標法違反で2人を検挙するとともに,11月,被疑者らからの注文を受け,韓国内で購入した偽ブランド品を卸売りした韓国人ブローカーを検挙した(山口)。

 



事例2
 無職の男(36)は,12年6月以降13年10月までの間,自分のホームページを利用して,複製したビジネスソフト等を販売し,販売代金を架空名義口座に振り込ませた。14年9月,著作権法違反で逮捕するとともに,10月,組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した(北海道)。

 



 警察では,知的財産権侵害事犯に対する取締りを権利者等と連携して実施しているほか,外国捜査機関との情報交換,権利者の外国での訴訟活動の支援,不正商品対策協議会(注)と連携した知的財産権の保護及び不正商品の排除等の知的財産権保護のための取組みを推進している。


(注)昭和61年,不正商品の排除及び知的財産の保護を目的として,知的財産権侵害に悩む各種業界団体らにより設立された任意団体。警察庁等の関係機関と連携し,シンポジウムの主催や各種イベントへの参加を通じて,知的財産保護のための広報啓発活動,海外における不正商品販売の実態調査,海外の法執行機関に対する働き掛け等を積極的に行っている。

○14年中に警察庁が後援等した広報啓発活動
 ・「アジア知的財産権シンポジウム2002」
   (不正商品対策協議会主催,2月,東京)
 ・「不正商品防止キャンペーン「ほんと?ホント!フェアin名古屋」」
   (不正商品対策協議会主催,5月,名古屋)
 ・全国生涯学習フェスティバル「まなびピア石川2002」
   (文部科学省等主催,10月,石川)

 
ほんと?ホント!フェアin名古屋

ほんと?ホント!フェアin名古屋

 

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