第1章 組織犯罪との闘い 

(4)海外に本拠を置く国際犯罪組織

ア 「蛇頭」
 国際的な密航請負組織である「蛇頭(じゃとう)」は,営利を目的として,中国での密航者の勧誘,引率,搬送,船舶や偽造旅券の調達,我が国での密航者の受入れ,隠匿,搬送等を行うなど,国境を越えて暗躍し,世界各国の出入国管理を脅かす犯罪を組織的に敢行している。
 「蛇頭」は,我が国に不法滞在している中国人を集めて受入組織を構築するなど,広域的に活動し,集団密航に深く関与している。最近では,暴力団の支援を受けずに,自力で集団密航者の収受,運搬,隠匿といった犯行を繰り返している例もみられる。

事例
 平成14年9月,愛知県警察は,13年8月に大阪府内で発生した集団密航事件の首謀者として中国公安当局から指名手配され,偽造旅券を用いて我が国に潜伏していた中国人の男(37)を始めとする蛇頭組織構成員等17人を一斉に摘発・逮捕した。
 更に捜査を進めた結果,前記集団密航事件について,同中国人が中国福建省において密航者を勧誘して貨物船を用いて送り出した事実,逮捕した蛇頭組織構成員2人が大阪で密航者を迎え入れた事実を特定した。14年11月には,同中国人ら3人を入管法違反(営利目的の集団密航入らせ)で再逮捕した。
 なお,この事件は,不法入国助長の罪のうち,入管法第74条第2項(営利目的の集団密航入らせの罪)を初めて適用したものである(愛知)。

 

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