結び

 深刻な少年非行情勢を目の当たりにして、今、一体何をなすべきであろうか。
 警察は、非行防止の第一線にあって、非行少年や非行に走ろうとしている少年、また被害を受け傷ついた少年に最も早く、最も身近に接する立場にある。その責務は極めて重く、第4節に掲げた施策を着実に推進していかなければならない。その一方で、少年問題には、ひとり警察の取組みだけでは解決しがたい部分がある。
 少年を取り巻く種々の非行の問題に特効薬と言えるものは存在しない。問題の根本的な解決に向けて、迂遠のようでも、少年一人一人の規範意識や家族愛をはぐくむ努力を積み重ねていかなければならない。そのためには、家庭や学校に期待されるところが大きい。また、地域社会や警察その他の関係機関がそれぞれの役割を果たしていかなければならない。しかし、これにとどまらず、社会の構成員一人一人が少年問題を自らの問題としてとらえ、少年とかかわることをいとわず、また自らの行動を律することが必要ではないであろうか。
 21世紀における非行のない社会を構築する鍵は、国民一人一人の手の中にある。


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