第4章 犯罪情勢と捜査活動等

第1節 犯罪情勢と捜査活動

 平成8年の刑法犯認知件数は181万件を超え、戦後最高を記録した。このような情勢において特に際立ったのは、いわゆるバブル経済の崩壊後の経済情勢を反映した大型の金融・不良債権関連事犯等の不正事案の顕在化及び来日外国人による組織的な犯罪の著しい増加であった。このほか、都道府県の境界を越えた犯罪等、犯罪のボーダーレス化も依然として進行しており、犯罪は質的変化を続けている。また、コンピュータ・ネットワークを通じて外部から侵入するハッキング(クラッキング)によるものをはじめ、コンピュータ・ネットワークを手段とする新たな形態の犯罪が問題となっている。
 このような情勢に的確に対応するため、警察では、広域捜査力、専門捜査力、科学捜査力、国際捜査力のそれぞれの強化や国民協力の確保等の諸施策を講じ、捜査力の充実強化を図るとともに、総合的なネットワーク・セキュリティ対策を推進している。

1 平成8年の犯罪の特徴

(1) 重要凶悪事件
ア 凶悪な手口の殺人事件の多発
 平成8年中の捜査本部設置事件(殺人、強盗殺人等殺人の絡む事件のうち捜査本部を設置した事件をいう。)は120件で、前年に比べ、10件増加した(図4-1)。その内容をみると、殺害死体を土中に埋めたり焼損して隠ぺい工作を図る死体隠ぺい事件が50件で、前年に比べ5件増加しているほか、連続女性強盗殺人事件や女子中学生ら致・殺人事件、知人を猟銃で射殺して実子を連れ車両で逃走した事件等、凶悪な手口の事件が目立った。
〔事例1〕 1月6日、清掃作業員の男(60)は、足立区内の自宅において同棲中の女性(41)を撲殺し、死体の頸(けい)部を切断して、胴体部分を自宅付近の駐車場に、頭部を自宅の南側畑に埋めて遺棄した。6月6日に検挙した(警視庁)。
〔事例2〕 4月18日、タクシー運転手の男(34)は、広島県呉市内路上に駐車中のタクシー内において女性(16)を絞殺し、現金約5万円を強取した上、死体を用水路に遺棄した事件のほか、9月までの間に同様の手口で女性3人を殺害し、山林等にそれぞれ遺棄した。9月21日に検挙した(広島)。

図4-1 捜査本部設置事件解決状況の推移(平成4~8年)

イ 海外を舞台とする保険金目的殺人事件
 8年の保険金目的殺人事件の検挙件数は5件で、最近5年間で最も多くなっている(表4-1)。この中には、海外を舞台とする保険金目的殺人事件も含まれている。
〔事例〕 7年6月23日、輸入仲介業の男(42)は、他の共犯者と共謀の上、知人の無職の男性(47)に掛けた保険金をだまし取る目的で、フィリピン国内においてこの知人を殺害したほか、6年12月1日にも同様の目的で会社員(43)を殺害した。8年6月28日に検挙した(愛知)。

表4-1 保険金目的殺人事件検挙件数の推移(平成4~8年)

ウ 増加する強盗事件
 8年の強盗事件の認知件数は2,463件で、前年に比べ、186件(8.2%)増加した。このうち、けん銃発砲を伴う強盗事件は、集金途中の現金輸送車襲撃事件等4件である。
〔事例〕 6月3日、東京都中野区において、信用組合職員2人が現金輸送車で集金途中に

表4-2 路上強盗事件の推移(平成4~8年)

襲撃され、うち1人がけん銃で撃たれ重傷を負い、現金約4,000万円を強取された。9年5月現在捜査中である(警視庁)。
 手口別では、路上強盗事件が826件発生し、前年に比べ、206件(33.2%)と、大幅に増加している。路上強盗の検挙人員では、少年の検挙人員が全体の74.8%を占めている(表4-2)。
エ 強制わいせつ事件の増加
 8年中の強制わいせつ事件の認知件数は4,025件で、前年に比べ、381件(10.5%)増加し、強姦事件の認知件数は1,483件で、前年に比べ、17件(1.1%)減少した。
 警察では、被害者対策の一環として(第9章第3節参照)、性犯罪の被害者がしゅう恥心等から警察に対する被害申告をしゅん巡する傾向が強いことを踏まえ、性犯罪捜査指導官の設置、同性の警察官による事情聴取の拡大等の施策を推進している。
〔事例〕 暴力団員の男(26)ら2人は、3月18日、川崎市内の公園を通行中の女性(25)を公園内のトイレに引き込んで現金、キャッシュカード等を脅し取った上、強姦したほか、強盗強姦等19件を引き起こした。4月23日に検挙した(神奈川)。
オ 来日外国人による犯罪の増加
 諸外国との交流が活発化するに従い、来日外国人による犯罪が依然として増加を続けている。詳細については、第8章1参照。
(2) 都道府県の境界を越えた犯罪
 交通・通信手段の発達等により、人々の生活範囲が拡大する中で、犯罪についても、都道府県の境界を越えて発生する事件や、犯人の割り出し、裏付け捜査等の捜査活動が他の都道府県に及ぶ事件が多くみられ、広域的な捜査活動の必要性がますます高まっている。
ア 広域にわたる凶悪事件
 被害者を車両で他の都道府県に連れ出し残虐な手ロで殺害した事件等都道府県の境界を越えた凶悪事件について、複数の都道府県警察が合同・共同捜査本部(3(1)ア参照)を設置して犯人を検挙している。
〔事例〕 平成4年7月、貿易商の男(46)ら4人は、医師兼会社役員(37)及び会社社長(32)をそれぞれ都内でら致監禁し、金品を強奪の上、けん銃で脅かして栃木県内の山中に生き埋めにし、殺害した。8年6月13日に検挙した(神奈川、警視庁、広島)。
イ 広域窃盗犯
 8年は、来日外国人グループによる出店荒し事件や暴力団員らによる自動車盗事件といった組織的な広域窃盗事件が多発した。
 広域化する窃盗事件に対し、関係都道府県警察においては、合同・共同捜査を積極的に実施している。8年中の実施件数は104件で前年に比べ減少したものの、延べ実施都道府県数は305に上り、1事件当たりの都道府県数は2.9と、最近5年間で最も多くなっている(表4-3)。

表4-3 合同・共同捜査実施状況の推移(平成4~8年)

〔事例〕 暴力団員の男(34)ら10人は、6年から8年3月までの間、1都16府県下にわたり、市街地の金融機関、デパート、スーパー等のキャッシュコーナーの出入ロドアをバールで打ち破るなどして侵入し、CD機の扉をこじ開け現金を窃取する窃盗事件等737件(被害総額3億8,345万円相当)を引き起こした。3月26日に検挙した(神奈川、京都、和歌山、奈良、三重)。
(3) 金融・不良債権関連事犯及ぴ住専関連事犯
 バブル経済の崩壊後、金融機関が多額の不良債権を抱えて破綻(たん)するケースが相次いでおり、こうした情勢の中で、昨今、不良債権の発生、膨張又は債権回収の過程において、詐欺、背任、競売入札妨害等の違法行為が行われた事案が顕在化した。
 こうした金融機関及び不良債権をめぐる不正事案の解明のため、警察庁では、平成8年1月9日、刑事局内に刑事局長を長とする「金融・不良債権関連事犯対策室」を設置し、さらに、2月8日には同室の長を警察庁次長に格上げするなどして同室を拡大強化するとともに、都道府県警察におぃても、警察本部に「金融・不良債権関連事犯取締本部」等を設置するなどして捜査体制の強化を図ったほか、9年度においては所要の地方警察官の増員を行った。
ア 金融・不良債権関連事犯
 8年には、金融・不良債権関連事犯を107件(55件(注))検挙している。5年から7年までの金融・不良債権関連事犯の年間の平均検挙件数が約38件(約11件)であることと比べて、その検挙件数は大幅に増加した(図4-2)。
(注) ( )内は暴力団等(暴力団、暴力団員、凖構成員、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロをいう。)に係る金融・不良債権関連事犯の件数を示す。
 金融・不良債権関連事犯のうち、融資過程における詐欺・背任事件等の検挙は15件(4件)、債権回収過程において、民事執行を妨害するなどした競売入札妨害、公正証書原本不実記載事件等の検挙は56件(51件)となっている。また、その他の金融機関役職員による詐欺、背任事件等についても、36件を検挙している。
 なお、件数はすべて、住宅金融専門会社関連の金融・不良債権関連事犯を含む。
〔事例1〕 元信用組合理事長(51)らは、4年3月ころ、元理事長が実質的に経営する会社の救済を図る目的で、債務返済能力のない、いわゆるダミー会社2社を設立の上、それらに対して、十分な担保を取らずに総額数十億円の融資を行い、同組合に同額相当の財産上の損害を与えた。8年6月20日に検挙した(警視庁)。
〔事例2〕 道仁会傘下組織幹部(26)らは、銀行の申立てにより競売開始決定がなされた佐賀県内の競売物件について、8年2月から4月までの間、同物件に政治結社名を記載した看板を掲示するとともに、同敷地内に街頭宣伝車を駐車するなどした上、同物件に関する内容虚偽の賃貸借契約書を裁判所執行官に郵送し、競売を妨害した。5月28日に検挙した(佐賀)。

図4-2 金融・不良債権関連事犯の検挙状況の推移(平成5~8年)

〔事例3〕 信用組合代表理事(62)らは、系列の抵当証券会社が抵当証券を販売するに際し、真実は当該抵当証券の元利保証ができないにもかかわらず、約70人に対してそれができる旨の虚構の事実を申し向け、7年8月ころ、抵当証券の購入代金として、合計1億数千万円をだまし取った。8年5月29日に検挙した(大阪)。
イ 住専関連事犯
 住専問題の処理に公的資金が導入されることが決定されたのを契機に、住宅金融専門会社(以下「住専」という。)をめぐる不正事案の徹底解明を望む声が高まり、警察においても住専の不良債権に絡む借り手、貸手に係る犯罪の捜査を強力に推進した。
 8年は、金融・不良債権関連事犯のうち、住専の不良債権に絡む多額詐欺事件、競売入札妨害事件等については、15件(9件)を検挙し、住専の経営者や悪質な借り手が犯した犯罪について、厳正に対処している。また、住専関連の金融・不良債権関連事犯のほか、何らかの形で住専の融資先等が関与している事件を検挙している。
 住専に係る債権の回収等に当たる預金保険機構等に対しても、これらの機関からの告訴・告発、相談、保護要請等への的確な対応を行うなどの連携を行っており、9年には、住宅金融債権管理機構等からの告発による事件を検挙している。このように、警察では、刑罰法令に触れる行為に厳正に対処し、民事執行の妨害行為の排除等の債権回収の支援に努めている。
〔事例1〕 住専の大ロ融資先である不動産会社社長(63)らは、共謀の上、同社が所有する神奈川県内の土地について、債権者が競売の申立てをなすことを察知するや、7年5月、同所にプレハブ建物を建築して、賃貸借の存在を装い、同年6月、虚偽の賃借権を仮登記させるとともに、同年8月、裁判所執行官に対し虚偽の事実を申し向け、現況調査報告書にその旨記載させ、競売を妨害した。8年5月27日に検挙した(警視庁)。
〔事例2〕 住専の融資先企業社長(53)らは、実質的に経営しているグループ会社の従業員約百数十人について、事業主に加入を義務付けられている雇用保険、健康保険及び厚生年金に関して、各関係機関に対して雇用関係の開始又は終了について所定の書類を提出して届出をしなければならないにもかかわらず、それを怠った。7月13日に検挙した(大阪)。
〔事例3〕 合田一家傘下組織組長(56)は、株式会社住宅金融債権管理機構を債権者とする知人所有の抵当物件について、8月10日、同社社員に対し、同傘下組織組長名等が記載された名刺を示した上、同人に従わなければ競売を妨害する旨申し向けるなどして脅迫した。9年1月20日に検挙した(広島)。

2 犯罪情勢及び捜査活動の現況

(1) 全刑法犯の認知及び検挙の状況
ア 認知状況
 平成8年の刑法犯の認知件数(注)は181万2,119件(前年比2万9,175件(1.6%)増)であった(図4-3)。
(注) 罪種別認知件数は、資料編統計4-3参照。
 8年の刑法犯認知件数の包括罪種別構成比をみると、窃盗犯が158万8,698件で、全体の87.7%を占めている(図4-4)。
 過去20年間の刑法犯包括罪種別認知件数の推移をみると、粗暴犯が減少傾向にあるのに対し、窃盗犯は増加傾向にある(図4-5)。なお、8年はすべての罪種で認知件数が増加し、なかでも知能犯の認知件数が大幅に増加した。
イ 検挙状況
 8年の刑法犯検挙件数は73万5,881件(前年比1万7,293件(2.3%)減)、検挙人員(注)は29万5,584人(2,332人(0.8%)増)である(図4-6)。
(注) 検挙人員には、触法少年を含まない。
(2) 犯罪による被害者の状況
ア 生命、身体の被書
 平成8年に認知した刑法犯により死亡し、又は負傷した被害者の数は、死者が1,249人(前年比43人(3.3%)減)、負傷者が2万3,830人(4,224人(15.1%)減)である(表4-4)。

図4-3 刑法犯認知件数と犯罪率の推移(昭和22~平成8年)

図4-4 刑法犯認知件数の包括罪種別構成比(平成8年)

図4-5 刑法犯包括罪種別認知件数の推移(昭和52~平成8年)

死者数を罪種別にみると、殺人による死者が652人で最も多く、全体の52.2%を占めている。
イ 財産犯による被害
 8年に認知した財産犯(強盗、恐喝、窃盗、詐欺、横領、占有離脱物横領をいう。)による財産被害の総額は約2,414億円(前年比約229億7,630万円(10.5%)増)であり、このうち、現金の被害は約845億円(約122億5,412万円(17.0%)増)である(表4-5)。
(3) 重要犯罪及び重要窃盗犯の認知及び検挙の状況
 警察では、刑法犯のうち個人の生命、身体及び財産を侵害する度合いが高く、国民の脅威

図4-6 刑法犯検挙件数、検挙人員の推移(昭和22~平成8年)

表4-4 刑法犯による死者数と負傷者数の推移(平成4~8年)

表4-5 財産犯による財産の被害額の推移(平成4~8年)

となっている重要犯罪、重要窃盗犯の検挙に重点を置いた捜査活動を行っている。
ア 重要犯罪
 平成8年の重要犯罪(注)の認知件数は1万1,286件(前年比634件(6.0%)増)、検挙件数は9,925件(282件(2.9%)増)、検挙人員は7,323人(354人(5.1%)増)である。
 なお、昭和62年から平成8年までの重要犯罪の罪種別検挙率の推移は、図4-7のとおりである。
(注) 重要犯罪とは、殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯に略取・誘拐、強制わいせつを加えたものをいう。

図4-7 重要犯罪罪種別検挙率の推移(昭和62~平成8年)

図4-8 重要窃盗犯手口別検挙率の推移(昭和62~平成8年)

イ 重要窃盗犯
 8年中の重要窃盗犯(注)の認知件数は、30万1,310件(前年比1万2,612件(4.0%)減)、検挙件数は21万6,794件(1万4,432件(6.2%)減)、検挙人員は2万4,023人(400人(1.6%)減)である。
 なお、昭和62年から平成8年までの重要窃盗犯手ロ別検挙率の推移は、図4-8のとおりである。
(注) 重要窃盗犯とは、侵入盗、自動車盗、ひったくり、すりをいう。
(4) 政治・行政とカネをめぐる不正事案
 ここ数年来、政治改革、行政改革が国政の最大の焦点となり、また、政治参画意識の高まりや行政監視への関心の高まりとともに、政治・行政とカネをめぐる構造的不正の追及を求める国民の声がかつてない高まりをみせているところである。このため、警察においては、この種事犯に対する捜査体制の整備・充実を図るとともに、専門的知識・技能を有する捜査員の育成強化に努め、各種刑罰法令に触れる行為が認められればこれに厳格に対処するなどして、こうした不正事案の解明を進めている。
ア 贈収賄事件の検挙状況
 平成8年中の贈収賄事件の検挙事件数は60事件、検挙人員は223人で、検挙状況は図4-9のとおりである。検挙人員のうち、首長の検挙人員は12人で、引き続き高い水準で推移している。
イ 中央官庁の職員らによる贈収賄事件の検挙

図4-9 贈収賄検挙事件数、検挙人員の推移(昭和62~平成8年)

 8年は、元厚生事務次官らによる国庫補助金の交付等をめぐる贈収賄事件や郵政省幹部職員らによる贈収賄事件等の中央官庁の職員らによる行政とカネをめぐる社会的反響の大きな事件を検挙した。
〔事例〕 元厚生事務次官(57)は、4年4月ころから7年7月ころまでの間、特別養護老人ホームの設置に関する補助金の交付等に関し、有利な取り計らいをしたことなどへの謝礼として、特別養護老人ホーム等を運営していた社会福祉法人役員(51)から、数回にわたり現金合計数千万円等を収賄した。8年12月4日に検挙した(警視庁)。
ウ 選挙違反の取締り
(ア) 第41回衆議院議員総選挙違反取締り状況
 6年に、政治の腐敗防止と金の掛からない選挙の実現を目指して、小選挙区比例代表並立制、連座制の強化等を内容とする選挙制度の改革がなされた。
 新選挙制度の下で初めて行われた8年の第41回衆議院議員総選挙(10月20日投票)における公職選挙法違反による検挙状況(投票日後90日現在)は、件数が886件、人員が1,713人(うち被逮捕者287人)で、前回に比べ、件数は2,135件(70.7%)、人員は4,122人(うち被逮捕者335人)(70.6%(うち被逮捕者53.9%))それぞれ減少している。
 このうち、買収事件の検挙状況は、検挙件数が757件、検挙人員が1,531人で、全検挙に占める割合は、検挙件数で85.4%、検挙人員で89.4%である(表4-6)。
 また、候補者を逮捕した事件が3事件(前回同時期2事件)となっているほか、社会福祉施設関係者が関与した投票干渉事件等を検挙している。

表4-6 衆議院議員総選挙における罪種別検挙状況の比較(9年1月18日(期日後90日)現在)

(イ) 一般地方選挙に伴う選挙違反取締り状況
 衆議院議員総選挙以外の一般地方選挙の違反取締りについては、検挙事件数は85事件で、前年に比べ、22事件減少したものの、市長1人、町長4人と、首長の逮捕が前年の市長1人、町長2人を上回っている。
〔事例〕 つくば市長(68)は、運動員数人と共謀の上、7年10月中旬ころ、自己の当選を得る目的で、選挙人らに対して現金数百万円を供与した。8年4月11日に検挙した(茨城)。
エ 不正談合・競売入札妨害事件
 贈収賄等の不正事案に深く結び付く不正談合や競売入札妨害事件については、検挙件数は29件で、前年に比べ9件増加しており、検挙人員は242人で、前年に比べ87人増加している。
〔事例〕 土木建設会社10社の役員らは、6年12月ころ、高知県土佐清水土木事務所発注の県道改修工事の指名競争入札に関して、公正な価格を害する目的で、落札業者及び入札価格を協定し、談合した。8年5月28日に検挙した(高知)。
(5) その他の特異な事件事故
ア 悪質列車妨害事案の多発
 平成8年4月から6月にかけて、首都圏を中心に、運行中の列車に妨害電波を発信(40数件)、線路上に大型の障害物を放置(20数件)、さらには列車内に塩酸含有の液体を放置(6件)するなどの悪質な列車妨害事案が多発した。
〔事例1〕 無職の男(21)は、4月30日早朝、JR横須賀線の鎌倉付近において、重さ130キロ余りのコンクリート塊を放置し、踏切遮断機用ケーブルを切断するなどして列車の運行を妨害したほか、50数件の列車妨害を引き起こした。11月5日に検挙した(神奈川)。
〔事例2〕 無職の男(29)ら3人は、4月初旬、列車内から列車防護無線4台を窃取し、その後、同無線機により電波を発信して走行中の列車を緊急停車させ、その運行を妨害した。11月17日に検挙した(警視庁)。
イ 死傷者多数を伴う航空機事故の発生
 8年は、福岡空港において、乗員・乗客275人のうち3人が死亡、170人が負傷した福岡空港ガルーダ・インドネシア航空機炎上事故が発生した。詳細については、第7章1(3)イ参照。

3 捜査力の充実強化のための施策

 近年の情報通信システムや科学技術の高度化、交通手段の発達、外国人入国者数の増加等の社会情勢の変化に伴い、犯罪も多様化の度合いを強めており、かつては予測もできなかった新しい形態の犯罪が発生している。さらに、犯罪の質をみても、広域化、スピード化、国際化が一層進み、犯行の手口も悪質化、巧妙化が著しい。
 一方、都市部においては、一般的に自分に直接かかわりのないことには無関心、非協力的な態度をとる者が多いことから、聞き込み捜査等の「人からの捜査」が困難になってきている。さらに、大量生産、大量流通が著しく進展したことから、遺留品等、事件と関係ある物から被疑者を割り出す「物からの捜査」も難しくなってきている。このように捜査活動はますます困難になってきている。
 こうした情勢にかんがみ、警察では捜査力の充実強化のため、広域捜査力の強化、専門捜査力の強化、科学捜査力の強化、国際捜査力の強化、犯罪捜査に対する国民協力の確保を柱とした施策を積極的に推進している。
(1) 広域捜査力の強化
 社会のボーダレス化に伴い、犯罪についてもその広域化が顕著であることから、これら広域事件に的確に対応するために次の施策等を行っている。
ア 合同・共同捜査
 広域重要犯罪の発生時に、指揮系統を一元化し、関係都道府県警察が一体となって捜査を行う合同捜査、指揮系統の一元化までは行わないが、捜査事項の分担やその他捜査方針の調整を図りつつ捜査を行う共同捜査を積極的に推進している。
 なお、平成6年の警察法の一部改正により、合同捜査に関し、警視総監又は警察本部長の協定により関係都道府県警察の指揮権の一元化を行うことが可能となり、オウム真理教関連事件の捜査においても、この改正規定を有効に活用し、合同捜査本部を迅速に設置するなどして適切な捜査が進められた。
 さらに、8年の警察法の一部改正により、都道府県警察は、広域組織犯罪等を処理するため、その固有の判断と責任の下に管轄区域外においてその権限を行使することができるようになり、また、警察庁長官が都道府県警察の役割分担等について指示を行うことにより、広域組織犯罪等に対処するための態勢を迅速かつ的確に整備することが可能となった(第1章第2節3(6)イ参照)。
イ 広域捜査隊の設置
 地理的条件、交通網の状況等から地域の一体性の強い都府県境付近の区域において発生した犯罪に即応するために、都道府県警察の単位を越え、広域的に捜査、訓練等を行う広域捜査隊の整備を進め、初動捜査強化のための体制づくりに努めている。広域捜査隊については、平成6年の警察法改正により、法律上の明確な根拠が与えられたところであり、現在、全国で11区域に設置され、殺人、強盗等の凶悪事件や、特に迅速な対応を要する特異な窃盗事件等の初動捜査を行っている。
ウ 広域機動捜査班の設置
 各都道府県警察の機動捜査隊に、身の代金目的誘拐事件や人質立てこもり事件等に対する専門的捜査技術と広域的な機動捜査力を有する広域機動捜査班を設置し、広域捜査の中核として運用している。
エ 広域的な搜査情報の共有
 広域重要犯罪においては、警察庁や関係都道府県警察が捜査情報を共有し、組織的な捜査活動を展開することが不可欠であることから、警察庁では、捜査過程で収集された情報等を一元的に管理するとともに、関係都道府県警察の間で必要な情報を伝達することを目的とする「捜査情報総合伝達システム」の整備を推進している。また、今後は、個々の捜査情報を単に管理し伝達するだけでなく、それぞれの情報の関連等を体系的に整理し、総合された情報として活用することが不可欠となることから、情報形式の標準化、情報の総合化システムの開発等を計画している。
(2) 専門捜査力の強化
ア 捜査官の育成
 犯罪の質的変化、捜査環境の悪化等に適切に対応し、国民の信頼にこたえるち密な捜査を推進するには、捜査技術の向上を図るとともに各種の専門的知識を備えた捜査官を育成するなど刑事警察のプロ化を総合的に推進していく必要がある。
 このため、警察大学校等において、国際犯罪捜査、広域特殊事件捜査等に関する研究や研修を行うとともに、都道府県警察において、若手の捜査官に対し、経験豊富な捜査官がマンツーマンで実践的な教育訓練を行うことにより、新しい捜査手法や技術の研究・開発、長期的視野に立った捜査官の育成、捜査幹部の指揮能力の向上に努めている。
 また、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、捜査上得られた教訓及び効果的な捜査手法等を他の捜査幹部に模擬的に体験させるための研修を行うなどして捜査技術の向上に努めている。
 なお、財務解析、科学捜査、国際犯罪捜査、コンピュータ犯罪捜査等専門的知識や特別な技術を必要とする分野においては、公認会計士や海外経験豊富な者等専門的知識を有する者を積極的に中途採用するなどして、捜査力の向上に努めている。
イ 専門捜査員制度
 航空機事故、列車事故のように、発生頻度が低いために事件捜査の経験を有する捜査員が少ない事案や、複雑・特異な証券・金融犯罪のように、高度な専門的知識を持つ捜査員を多数必要とする事案等、一の都道府県警察においては捜査に必要な知識を有する捜査員を確保することが困難な場合があり、このような場合は他の都道府県警察からの応援派遣が有効である。そこで、都道府県公安委員会等が相互に協定を結び、一定の事案の捜査に必要な知識、技能、経験を有する捜査員を専門捜査員として応援派遣できる制度を確立し、その円滑な実施を推進している。また、サリン等の毒性物質を使用した新たな態様の犯罪に的確に対処するため、専門捜査員の分野を細分化し、化学事故・事件専門捜査員を登録して全国的な運用を図っている。
 さらに、発生頻度の低い航空機事故、列車事故、爆発事故等の大規模事件事故に関して、事件捜査の経験を有する捜査員を多く育成するために、事案が発生した際にあらかじめ指定された捜査員を現場に臨場させて研修を行う指定臨場官制度を併せて運用している。
ウ 警察庁指定広域技能指導官制度
 警察庁指定広域技能指導官制度とは、極めて卓越した専門的技能又は知識を有する警察職員を指定することにより、これらの者の名誉をたたえるとともに、警察全体の財産として都道府県の枠にとらわれず広域活用する制度である。平成6年度から運用が開始され、9年5月現在火災犯捜査、すり犯捜査等に卓越した能力を有する24人を指定している。
(3) 科学捜査力の強化
ア 捜査と鑑識の一体化の推進
 捜査を取り巻く諸情勢の悪化に対処するため、従来までの施策に加え、平成8年においては、捜査部門と鑑識部門との人事交流等、科学捜査力の強化のための諸施策を一層推進するとともに、これら諸施策によって獲得した人材、施設、制度が犯罪の捜査という一つの目標に向かって有機的に作用するよう、捜査と鑑識が一体となった科学捜査力の強化に努めた。
イ 捜査支援システムの活用
(ア) 自動車ナンバー自動読取システム
 自動車利用犯罪や自動車盗の捜査のために自動車検問を実施する場合、実際に検問が開始されるまでに時間を要すること、徹底した検問を行えば交通渋滞を引き起こすおそれがあるなどの問題がある。
 警察庁では、これらの問題を解決するために、走行中の自動車のナンバーを自動的に読み取り、手配車両のナンバーと照合する自動車ナンバー自動読取システムを開発し、整備を進めている。
(イ) 指紋自動識別システム
 指紋は万人不同、終生不変であり、個人識別の最も確実な資料である。警察庁では、コンピュータによるパターン認識の技術を応用して指紋自動識別システムを開発し、犯行現場に遺留された指紋から犯人を特定する遺留指紋照合業務や、逮捕した被疑者の身元と余罪の確認、犯罪の被害者や災害、事故等により死亡した者の身元確認等に活用している。
 さらに、9年度からは、指紋を光学的に短時間で採取できるライブスキャナをすべての警察署に、また遺留指紋照会端末装置を各警察本部にそれぞれ設置するとともに、衛星通信回線等を利用したネットワークを構築し、同システムの高度化を図っている。
(ウ) 被疑者写真検索システム
 警察庁では、都道府県警察で撮影した被疑者写真を一元的に管理、運用し、犯罪の広域化、スピード化に対応した効率的な活用を図ることを目的として、コンピュータによる被疑者写真検索システムを全国に整備した。このシステムの導入により、全国の警察署において被疑者写真を迅速に入手することが可能となった。
(エ) 現場こん跡画像検索システム
 犯罪現場等に遺留された足跡やタイヤこん、工具こん等は、そこから種類、名称、製造メ-カーを割り出すことができ、犯人の検挙や犯行の裏付け、余罪の確認等の犯罪捜査に活用し得る極めて有力な資料である。
 警察庁では、9年度から足跡や自動車タイヤのトレッドパターン、ウィンカーレンズ等の自動車部品のデバイス記号についてデータベースを充実させ、コンピュータを活用した画像の比較対照により、ひき逃げ事件等の容疑車両の車種割り出しにも応用できる現場こん跡画像検索システムという新システムの整備を行うこととしている。
ウ 鑑識・鑑定の強化
(ア) 鑑識活動の強化
 警察では、科学技術の発達に即応した鑑識資機材の研究開発や整備を推進するとともに、機動鑑識隊(班)や現場科学検査班等の強化を図ることにより、現場鑑識活動の強化に努めている。
 また、警察庁の鑑識資料センターでは、あらかじめ繊維、土砂、ガラス等の各種資料を収集、分析し、これらの情報のデータベースを作り、都道府県警察が採取した微量、微細な資料と比較照合することによって、その物の性質や製造業者等を迅速に割り出し、犯罪捜査に役立てている。
(イ) 鑑定の高度化
 近年、鑑定対象物の多様化に伴い、鑑定の内容も複雑になり、高度な専門的知識・技術が必要とされている。
 このような情勢に対処し、各種の鑑定を一段と信頼性の高いものにするため、警察庁科学警察研究所や都道府県警察の科学捜査研究所(室)に最新鋭の鑑定機材を計画的に配備するとともに、都道府県警察の鑑定技術職員を科学警察研究所に附置されている法科学研修所に入所させ、法医学、化学、工学、指紋、足こん跡、写真等の各専門分野に関する組織的、体系的な技術研修を実施している。
(ウ) DNA型鑑定
 DNA型鑑定は、ヒトの身体組織の細胞内に存在するDNAの塩基配列の多型性に着目し、

これを分析することによって、個人識別を行う鑑定方法である。微量な現場資料等からでも鑑定が可能であり、特に、8年度から導入を始めたTH01型とPM検査では、従来の手法に比べて、より古い資料からの鑑定も可能である。
 DNA型鑑定は、型分類が豊富なことから個人識別能力に優れ、ABO式血液型鑑定とこれら4つの鑑定法を併せて実施することにより、同一の型が現れる割合は、最も出現頻度が高いものでもおおよそ日本人数万人に1人となることから、殺人、強姦事件等の犯罪の現場において、犯人のものと判断し採取した血液、精液等のDNA型と、聞き込み等の捜査から浮上した容疑者のDNA型が一致した場合、その容疑者が犯人である可能性は極めて高く、また、逆にDNA型が一致しない場合は、その容疑者を捜査対象から除外することができる。このように、DNA型鑑定は、血液、精液等の現場資料が残されやすい殺人、強姦事件等の凶悪事件の捜査における極めて有効な鑑定手法である。
エ 科学技術の新しい展開
 多様化する犯罪に対処するため、警察では、最先端の科学技術を導入し、鑑識技術の向上を図り、そのための新しい鑑定法や検査法の開発研究を行っている。
 また、一連のオウム関連事件を機に、科学警察研究所の組織改正を行い、法科学第一部から化学部門を分離・独立させ、法科学第三部を新設するとともに、サリン、VX等の毒性物質に対する鑑定法等を研究する研究室を設けるなど、体制の強化を進めている。
(ア) 法医学・血液学分野における研究
 DNA型分析による個人識別法の開発に関する研究のほか、頭蓋(がい)と顔貌(ぼう)の解剖学的相関に関する研究等の新しい鑑定・検査法の開発を行っている(表4-7)。
〔研究例1〕 DNA型分析による個人識別法の開発に関する研究

表4-7 DNA型鑑定技術の推移

 証拠資料のDNA型鑑定では、MCT118型及びHLADQαに加えて、陳旧血こん等の証拠資料から型判定が可能な短鎖DNA型(STR)検査法の1つであるTH01型とPM検査を実施している。
 このTH01型とPM検査法については、法科学研修所の研修を通じて計画的に全国の各都道府県警察に技術移転を行うこととし、8年度では14都府県で実際に鑑定を行っている。
 警察庁では、犯罪現場から採取される多種多様な生体資料からのDNA型鑑定の実施が強く要求されていることから、最新科学技術を導入したDNA型検出技術の高度化及び新たな検査法の研究開発を継続的に行っている。
〔研究例2〕 頭蓋と顔貌の解剖学的相関に関する研究
 頭蓋から生前の顔貌を復元するための多項目にわたる客観的なデータの収集を目的とする研究である。
 頭部X線規格写真の基礎データを用い、人類学的計測及び解剖学的位置等について統計学的解析を行い、合理的かつ客観的な復顔法が実施できるようなデータベースの構築を目指している。
(イ) 工学分野における研究
 画像処理に関する研究、弾丸類の発射こんの異同識別自動化に関する研究等工学分野における広い範囲の研究・開発を行っている。
〔研究例1〕 画像処理に関する研究
 犯罪、事故現場で撮影したビデオや写真の画像が不鮮明な場合には、それらを証拠として事件捜査に役立てるため、画像を鮮明化する処理が不可欠である。コンピュータを

用いる多様な画像処理法の開発研究、複数のビデオ画面を用いた画像の鮮明化等、それぞれの要望に応じた処理を行うことにより、実際に起こっている事件の捜査、事故の解明等に役立てている。
〔研究例2〕 弾丸類の発射こんの異同識別自動化に関する研究
 従来、銃器使用犯罪の捜査においては、事件現場に残された弾丸と発砲に使用されたと思われる銃との関係を証明するために、発射こんの異同識別が比較顕微鏡による目視検査で行われてきたが、比較件数も対照資料も毎年増加しており、その検査は膨大なものとなっていることから、コンピュータを用いた画像検索システムの開発を行い、一部を既に実用化し、捜査活動の迅速化に寄与している。
(ウ) 化学分野における研究
 多発する異臭事案に対処するための異臭原因物質の鑑定法、薬物分析法、微細物鑑定法等の研究・開発に取り組んでいる。
〔研究例〕 微細物鑑定法の研究
 犯罪現場に遺留されたり、着衣等に付着して発見されることの多い微細ガラス片の新しい異同識別法として、精密屈折率の測定や微量に含まれる成分元素を分析・比較する方法を開発した。現在、自動車のフロントガラスやへッドライトガラス、窓ガラス等の鑑定に応用し、成果を上げている。
(エ) 研究発表会・研修等の実施
 科学警察研究所は、8年8月、東京で開催された国際法科学学会において、画像処理、音声の個人識別、銃器鑑識、火災事故・爆発物鑑識等の研究発表や国際頭蓋・顔の個人識別学会(IACI)のワークショップの開催等を行い、諸外国の研究者との交流を行った。また、11月には、東京で日本鑑識科学技術学会の第2回学術集会が開催され、法科学全般にわたる当面の課題に関しての研究発表とそれに関する積極的な討論が展開された。このほか、爆発物の探知、銃の鑑定法等に関する国際会議への参加、外国人研究者の招へい等、諸外国との研究活動の交流や情報交換を積極的に実施している。また、乱用薬物の化学分析に関する国際セミナーの開催、鑑定技術に関する外国人研修生の受入れや鑑定協力の実施、米国陸軍DNA研究所等への留学等、国際協力と交流を行っている。
(4) 国際捜査力の強化
 組織化傾向の著しい来日外国人犯罪、国外における日本人犯罪等の国際犯罪に対応するため、警察では、国際捜査官の育成、組織体制の整備、通訳体制の強化及び外国捜査機関との積極的な連携を図っている。
 なお、国際犯罪への対応については、第8章参照。
(5) 犯罪捜査に対する国民協力の確保
 犯人検挙、事件解決のためには、犯罪捜査に対する国民の理解と協力が不可欠である。警察では、新聞、テレビ、ラジオ等の報道機関に協力を要請するとともに、人の出入りの多い場所でポスター等を掲示するなどの方法により、国民に犯罪捜査に対する協力を呼び掛けている。
 平成8年には、オウム真理教関連事案解明のため、オウム真理教関係指名手配被疑者の検挙を重点とした追跡捜査強化月間を5月、6月、7月及び11月に実施した。さらに、7年に設置した、市民からの情報を24時間受け付ける「オウム24時間」というフリーダイヤルを継続して実施したほか、市民向けの携帯手配書の配付、警察庁が開設したインターネットのホームぺージへの協力の呼び掛けの登載等により、情報の提供等を広く国民に呼び掛けた。このように、各種広報活動等を積極的に推進したところ、8年中に、市民からの通報等により警察庁指定特別手配被疑者4人を含むオウム真理教関係指名手配被疑者6人を検挙し、これにより、オウム真理教関係指名手配被疑者の検挙は、警察庁指定特別手配被疑者16人の検挙を含め、104人となった。
 なお、被害者等の立場に立った捜査の推進については、第9章第3節参照。


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