古物営業法施行規則の一部改正試案
 
1 古物商のホームページ利用取引に関する規定の整備
  古物営業法(以下「法」といいます。)第5条第1項第6号では、古物営業の許可を受けようとする者が、国家公安委員会規則で定める通信手段により申込みを受ける形態のホームページ利用取引を行う場合には、許可申請書に当該ホームページのURLを記載することとされました。
  この規則では、当該通信手段を、相手方と対面しないで使用できる通信手段(電子メール、電話、郵便等)と定めます。また、URLを許可申請書の記載事項としたことに伴い、当該URLの使用権限のあることを疎明する資料(プロバイダからURLの割当てを受けた通知書の写し等)を、許可申請書の添付資料に追加します。
  なお、法の施行の際現にホームページ利用取引を行っている古物商は、施行の日から3月以内に、そのURLを記載した届出書と上記の疎明資料を公安委員会に提出することとします。
 
2 変更の届出書の提出期限の延長
  古物営業法施行規則第5条第3項では、許可申請書の記載事項に変更があった場合には、古物商又は古物市場主は、原則として変更の日から10日以内に届出書を提出することとされていました。
  この規則では、添付書類の増加や規制緩和の要望を踏まえ、この提出期限を変更の日から14日以内に延長します。
 
3 ホームページを利用した競り売りに関する規定の整備
  法第10条第2項では、古物商がホームページを利用した競り売りを行おうとする場合には、あらかじめ、当該ホームページのURL等及び国家公安委員会規則で定める事項を届け出ることとされました。また、この手続を行うべきホームページを利用した競り売りの形態は、国家公安委員会規則で定める通信手段により申込みを受けるものとされました。
  この規則では、当該届出事項を、買受けの申込みを受ける通信手段の種類と定め、当該通信手段を、相手方と対面しないで使用できる通信手段(電子メール、電話、郵便等)と定めます。
 
4 品触れに係る情報通信の技術を利用する方法
  法第19条第3項では、品触れを、情報通信の技術を利用する方法であって国家公安委員会規則で定めるものにより発することができることとされました。
  この規則では、当該方法を、電子メールを利用する方法及びファクシミリを利用する方法と定めます。
 
5 古物競りあっせん業(インターネット・オークション)に関する規定の整備
(1)営業開始の届出
   法第10条の2第1項では、古物競りあっせん業者(インターネット・オークション事業者)は、営業開始の日から2週間以内に届出書を提出することとされ、この届出書の記載事項の一部と添付書類は、国家公安委員会規則で定めることとされました。
   この規則では、当該記載事項をサイトのURL等と定め、当該添付書類を、(a)当該URLを使用する権限を疎明する資料(レジストリからURLの割当てを受けた通知書の写し等)のほか、(b)届出者が個人の場合には住民票の写し等、(c)届出者が法人の場合には定款及び登記簿謄本と定めます。
(2)廃業等の届出
   法第10条の2第2項では、古物競りあっせん業者は、(a)廃業した場合又は(b)届出済みの事項に変更があった場合には、届出書を提出することとされました。この届出書の記載事項と添付書類は、国家公安委員会規則で定めることとされました。
   この規則では、当該記載事項を、(a)の場合には廃業の年月日等、(b)の場合には変更年月日及び変更事項と定め、当該添付書類を、(b)の場合には(1)の添付書類のうち変更事項に関係するものと定めます。また、届出書の提出期限を、廃業又は変更の日から原則14日以内と定めます。
(3)記録の作成及び保存の努力義務
   法第21条の4では、古物競りあっせん業者は、出品された古物が落札された場合には、国家公安委員会規則で定めるところにより、その記録の作成及び保存に努めなければならないこととされました。
   この規則では、記録の作成に努めるべき事項を、(a)古物の出品情報をサイトに掲載した年月日、(b)古物の出品情報及び出品者・落札者のユーザーID(サイトに掲載されたものに限る。)、(c)出品者・落札者がユーザー登録の際に登録した事項等のうちその真偽の確認に資するもの(注1)(古物競りあっせん業者が記録することについて出品者・落札者の同意があるものに限る。)と定め、記録の保存に努めるべき期間を1年間(注2)と定めます。
   (注1)実務上は、住所、氏名、年齢等が該当すると考えられます。
   (注2)法第20条で、盗難の時から1年間は特に被害者の保護を充実させていることや、窃盗犯の検挙状況を踏まえ、1年間としています。
(4)業務の実施の方法の認定
   法第21条の5では、古物競りあっせん業者は、その業務の実施の方法が、国家公安委員会が定める盗品等の売買の防止及び速やかな発見に資する方法の基準に適合することについて、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」といいます。)の認定を受けることができることとされました(第1項)。また、認定を受けた古物競りあっせん業者(以下「認定古物競りあっせん業者」といいます。)は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該認定を受けている旨の表示をすることができることとされたほか(第2項)、認定に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定めることとされました(第4項)。
   これらの規定に基づき、この規則では、以下のとおり定めることとします。
  ア 認定申請書等
    認定を受けようとする古物競りあっせん業者は、氏名又は名称、サイトのURL等を記載した認定申請書を提出することとします。
    この認定申請書には、(a)業務の実施の方法が認定の基準に適合することの説明書のほか、(b)申請者が個人の場合には、略歴書及び欠格事由に該当しないことの誓約書、(c)申請者が法人の場合には、業務を行う役員に係る住民票、略歴書、欠格事由に該当しないことの誓約書等を添付することとします。
  イ 認定の申請の欠格事由
    (a)刑法上の財産犯や法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者、(b)古物営業の許可の取消し等を受けてから5年を経過しない者、(c)認定を取り消されてから2年を経過しない者、(d)法人でその業務を行う役員のうちに(a)~(c)に該当する者があるもの等は、認定を申請することができないこととします。
    これらの欠格事由は、古物競りあっせん業を外国で営む者(以下「外国古物競りあっせん業者」といいます。)に準用されることも踏まえ、前科や行政処分歴には、外国の法令の規定に基づく同種のものも含めることとします。
  ウ 認定の基準
    認定の基準として、古物競りあっせん業者が(a)~(i)を実施することを定めます。
   (a) 出品者について、口座振替による認証(注3)、特別のクレジットカード認証(注4)(注5)を行うこと
   (b) 出品者が入力したメールアドレスあてに電子メールを送信し、その到達を確かめること
   (c) 出品者に対し、シリアルナンバー等のある古物を出品する場合には、当該シリアルナンバー等をサイトに掲載するよう勧奨すること
   (d) 盗品等である古物が出品されていることについて利用者から通報を受けるための専用の連絡先(専用の通報フォーム等)を設け、その連絡先を利用者が閲覧しやすいようにサイトに掲載すること
   (e) 上記の通報を受けて古物競りあっせん業者がとった措置等を通報者に通知すること
   (f) 営業時間外において、警察からの連絡を15時間以内に受けることができる措置を講ずること(注6)
   (g) 盗品等の出品を禁止すること
   (h) 入札者が盗品等を買い受けた場合に関係する事項(被害者等から返還の請求を受けることがあること、法律の定めにより押収を受けることがあること)を、入札者等が閲覧しやすいようにサイトに掲載すること
   (i) 外国古物競りあっせん業者の場合は、日本国内に居住する警察との連絡担当者を選任すること
    (注3)出品者が特定の金融機関に対し利用料金の支払のために口座振替依頼を行っていることを、古物競りあっせん業者が当該金融機関に確かめるものです(一部のインターネット・オークションで導入されています。)。
    (注4)ホームページを利用した通信販売等のサイトでは、通常は、クレジットカードのカード番号及び有効期限を利用者に入力させて認証していますが、第三者によるなりすましを防止するため、それらの情報に加えて、いわゆるセキュリティコードや名義人の生年月日等を入力させるものです(一部のインターネット・オークションで導入されています。)。
    (注5)口座振替による認証や特別のクレジットカード認証に限らず、これらと同程度になりすましが困難な措置であれば、基準を満たします。
    (注6)平日の午前9時から午後6時まで営業している事業者は、平日が連続していれば、警察が連絡を取ろうとしたときから遅くとも15時間(午後6時から翌日午前9時までの間)後には、連絡を受けることができます。
        インターネット・オークションのホームページ自体は、通常は年中無休ですので、事業者が休日であっても、平日と同程度の時間で連絡を受けらることができる措置を講ずることを趣旨としています。
        具体的な措置は、従業員が連絡用の携帯電話を所持することなどです。
    (a)・(b)は、インターネットにおける匿名性を低減させること、(c)~(e)は、盗品等の速やかな発見に資すること、(f)は、古物競りあっせん業者の迅速、適確な対応に資すること、(g)は、盗品等の売買を防止すること、(h)は、入札者等が盗品等の落札を回避するようにすること、(i)は、報告徴収の実効を確保することなどを、目的としています。
  エ 認定の表示
    認定を受けている旨の表示は、別添の様式とし、利用者が閲覧しやすいようにサイトに掲載する(トップページへの表示等)こととします。
  オ 認定の変更の手続
    認定古物競りあっせん業者は、業務を行う役員を新たに選任した場合やア(a)の説明書の記載事項に変更があった場合には、関係する書類を添付して、届出書を提出することとします。また、届出書の提出期限を、変更の日から14日以内と定めます。
  カ 認定の取消し
    公安委員会は、認定古物競りあっせん業者について、(a)認定の基準に適合しなくなった場合、(b)認定の申請の欠格事由に該当するに至った場合、(c)古物競りあっせん業に関し法令違反があった場合等には、その認定を取り消すことができることとします。
  キ 認定等の公示 
    公安委員会は、認定をした場合及び認定を取り消した場合には、その旨を官報により公示することとします。
 
6 外国古物競りあっせん業者
  法第21条の6第1項では、外国古物競りあっせん業者も、業務の実施の方法が5(4)ウの基準に適合することについて、公安委員会の認定を受けることができることとされました。
  この認定に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定めることとされました。
  この規則では、外国古物競りあっせん業者に係る業務の実施の方法の認定について、基本的に5と同様の内容を定めます。
  ただし、外国古物競りあっせん業者については、法に第10条の2等に相当する規定がないため、この規則では、認定申請書の記載事項や添付書類等を追加することとします。また、認定申請書を提出する公安委員会を連絡担当者の住居を管轄する公安委員会とするほか、法の規定により警察本部長等から認定を受けた外国古物競りあっせん業者に報告を求めた場合に、その報告がされなかったときなどには、その認定を取り消すことができることとします。
 
7 競りの中止の命令
  法第21条の7では、出品者が出品した古物について、盗品等であると疑うに足りる相当な理由がある場合には、警察本部長等が古物競りあっせん業者に対し、当該古物に係る競りを中止することを命じることができることとされました。
  この規則では、競りの中止の命令は、原則として書面により行うこととします。
 
8 その他
  各届出書等について、様式や提出手続を定めます。
 
 
 
 
別添様式