みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
飲酒運転による交通事故は、平成18年8月に福岡県で幼児3人が死亡する重大事故が発生するなど大きな社会問題となりました。その後、各方面の取組や、平成19年の飲酒運転厳罰化、平成21年の行政処分強化などにより、飲酒運転による交通事故は減少傾向にあるものの、依然として飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶ちません。(図「飲酒運転による死亡事故件数の推移」)
飲酒運転は極めて悪質・危険な犯罪です。
国民の皆さん一人一人が「飲酒運転を絶対にしない、させない」という強い意志を持ち、 飲酒運転を根絶しましょう。
飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!
行政処分
酒酔い運転(※1)
- 基礎点数 35点
免許取消し 欠格期間3年(※2,3)
酒気帯び運転
- 呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
基礎点数 13点
免許停止 期間90日(※2) - 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
基礎点数 25点
免許取消し 欠格期間2年(※2,3)
(※1) 「酒酔い」とはアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態をいう。
(※2) 前歴及びその他の累積点数がない場合
(※3) 「欠格期間」とは運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間
罰則
車両等を運転した者
- 酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 - 酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
車両等を提供した者
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 - (運転者が)酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - (運転者が)酒気帯び運転をした場合
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
飲酒運転はなぜ危険か?
アルコールは”少量”でも脳の機能を麻痺させます!
飲酒運転は、ビールや日本酒などの酒類やアルコールを含む飲食物を摂取し、 アルコール分を体内に保有した状態で運転する行為です。
アルコールには麻痺(まひ)作用があり、脳の働きを麻痺させます。 一般に「酔う」とは、血中のアルコール濃度が高くなることにより、大脳皮質(理性や判断をつかさどる部分)の活動をコントロールしている大脳下部の「網様体」が麻痺した状態を言います。お酒に酔うと、顔が赤くなる、多弁になる、視力が低下するなどの変化が現れ始め、さらに知覚や運転能力をつかさどる部分が抑制されることにより、同じ話を繰り返したり、足元がふらついたりします。
このように、飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になります。具体的には、「気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする」、 「車間距離の判断を誤る」、「危険の察知が遅れたり、危険を察知してからブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる」など、飲酒運転は交通事故に結びつく危険性を高めます。
また、酒に弱いと言われる人だけではなく、酒に強いと言われる人でも、低濃度の アルコールで運転操作等に影響を及ぼすことが各種調査研究により明らかになっていますので、飲酒したら絶対に車両等を運転してはいけません!
参考資料
- 「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究」 (76KB)
科学警察研究所交通安全研究室 - 「アルコールが運転に与える影響の調査研究の概要」 (293KB)
公益財団法人交通事故総合分析センター
飲酒運転による交通事故の発生状況等
飲酒運転による交通事故の発生状況(令和5年中)
令和5年中の飲酒運転による交通事故件数は、2,346件で、前年と比べて増加(前年比+179件、+8.3%)し、そのうち、死亡事故件数は、112件で、前年と比べて減少(前年比-8件、-6.7%)しました。
飲酒運転による死亡事故は、平成14年以降、累次の飲酒運転の厳罰化、飲酒運転根絶に対する社会的気運の高まり等により大幅に減少してきましたが、平成20年以降は減少幅が縮小しています。
飲酒有無別の死亡事故率(※)を見ると、
● 飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの約6.1倍
と極めて高く、飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことが分かります。
(※) 死亡事故率=死亡事故件数÷交通事故件数×100%
・飲酒運転による交通事故件数の推移(平成25年~令和5年)
・飲酒運転による死亡事故件数の推移(平成25年~令和5年)
政府広報オンライン
「飲酒運転を絶対にしない、させない、許さない!~私たちにできること」
飲酒運転による死亡事故の特徴等
飲酒運転による死亡事故の主な特徴は、
● 年齢層別の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、30歳未満の年代で多い。
● 飲酒死亡事故件数は、30歳未満では22時から6時まで、65歳以上では14時から22時までに多く発生している。
● 運転者の飲酒状況は、酒酔い又は酒気帯び(呼気0.25mg/l以上)が約7割を占める。
● アルコールの影響が大きい状況では、影響が小さい状況に比べて、車両単独による死亡事故が多く発生している。
● 単独事故の割合が高い。また、運転者や同乗者が死亡する事故が多いが、約3割は第三者を死亡させている。
となっています。
飲酒運転した理由は、「出勤のため二日酔いで運転してしまった」、「時間経過により大丈夫だと思った」などですが、翌日に車を運転する予定があれば、それを考慮した飲酒時間、飲酒量を心がけることが重要です。
夜遅くまで飲酒した場合、翌朝には体内にアルコールが残っている可能性がありますので、車の運転は控えましょう。
飲酒運転の根絶に向けた取組
警察では、飲酒運転の取締りを強力に行うとともに、飲酒運転の危険性及び交通事故実態について積極的に広報するほか、飲酒が運転等に与える影響について理解を深めるため、映像機器や飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推進しています。
また、交通ボランティアや交通関係団体、酒類の製造・販売業、酒類提供飲食業等の関係業界と連携して、(一財)全日本交通安全協会等が推進している「ハンドルキーパー運動」への参加を国民に呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携することにより、地域・職域等における飲酒運転根絶への取組を推進し、「飲酒運転を絶対にしない、させない」という「飲酒運転を許さない環境づくり」に取り組んでいます。
ハンドルキーパー運動
「ハンドルキーパー運動」にご協力下さい!
「ハンドルキーパー運動」とは、「グループが自動車で飲食店などに行き飲酒する場合、グループの中でお酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決め、その人はお酒を飲まずに、飲食後、仲間を安全に自宅まで送り届ける。」という飲酒運転防止運動です。
運動の推進に協力している飲食店では、ハンドルキーパーに目印となるバッジなどを付けてもらって酒類を出さないような配慮をしたり、ソフトドリンクを無料で提供するなどのサービスを行っている店舗もあります。
本運動の趣旨に賛同し、新たにご協力いただける飲食店等がありましたら、地元の警察署又は地区交通安全協会までご連絡ください。
関係機関・団体と連携した取組事例
事例1
コンビニエンスストアやコインパーキングと連携した飲酒運転防止を呼びかける広報啓発活動(チラシ配布やマグネットの貼付)
【提供:和歌山県警察】
【提供:福岡県警察】
事例2
「飲酒運転根絶対策優良事業所」を認定し、従業員に対する安全教育、指導等、各事業所における自主的活動を促進
【提供:沖縄県警察】
事例3
県内の高校と連携して、同校書道部員が巨大用紙に飲酒運転根絶メッセージを書き上げるライブパフォーマンスを行い、県民に飲酒運転根絶を訴えた
【提供:宮城県警察】
事例4
「飲酒運転根絶県民大会」の開催による県民の気運の醸成
【提供:宮城県警察】