12/9(土) セッション開催結果

 12月9日、松村祥史国家公安委員会委員長は次表のとおり5つのセッションを開催したところ、概要は以下のとおりです(G7各国内務担当閣僚、内務担当欧州委員、国際刑事警察機構事務総長が参加)。

 G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合

セッション1:経済安全保障及び民主主義的価値の保護

・本セッションでは、冒頭、瀧澤前内閣情報官から、経済安全保障の確保や偽情報をめぐる現状の情勢認識について説明がありました。

・これを受けて、一方的な現状変更を試み、国際秩序に挑戦する動きを加速させる一部の国家の動向を念頭に、技術情報の窃取や偽情報の拡散といった課題への対応について議論しました。

・松村国家公安委員会委員長からは、我が国における技術情報の流出防止や偽情報の拡散に対抗するための取組について紹介するとともに、普遍的な価値を共有するG7各国の治安機関の間で情報共有・連携を強化し、一致団結して対応していくことが重要であるとの発言がありました。

・この分野において、引き続き連携して対応していくというG7としての方向性を確認しました。

セッション2:サイバー空間の安全確保

・本セッションでは、冒頭、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)の堺代表理事から、我が国のサイバー空間をめぐる情勢やJC3の取組について説明がありました。

・これを受けて、ランサムウェアやフィッシング、国家を背景とするサイバー攻撃といったサイバー空間上の脅威への対処について議論しました。

・松村国家公安委員会委員長からは、ランサムウェアやフィッシング等の被害防止に向けた官民連携の取組を紹介したほか、国境を越えるサイバー事案に対処するため、警察庁のサイバー特別捜査隊を中心にG7各国の捜査機関と国際共同捜査を推進している旨の発言があり、国際連携の必要性について確認しました。

・各国からも企業を含めた国際社会の取組や、国際的な捜査協力の推進の必要性に関し活発な発言があり、G7として、捜査能力の向上を図りながら、サイバー事案の厳正な取締りや実態解明、官民連携等を推進していくことを確認しました。

セッション3:児童の性的搾取・虐待対策

・本セッションでは、冒頭、国際機関セーフオンラインのマノイロビッチ事務局長から、オンライン上の児童の性被害が世界的にどのような脅威となっているか説明がありました。また、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構の上沼理事から、我が国のソーシャルメディア業界における児童の性的搾取・虐待対策の取組についても説明がありました。

・これらの説明を受けて、技術の進展に伴う環境の変化と、それにより生まれる新しい手口によって、ますます深刻化する児童の性的搾取・虐待の現状と対策について議論しました。

・松村国家公安委員会委員長からは、我が国における、ソーシャルメディアを悪用した児童の性的搾取・虐待が深刻化している現状と、官民連携の推進等の取組に言及があった上で、国境を越えて活動するソーシャルメディア事業者等のテック企業にG7がともに呼び掛けていくことの重要性について指摘がありました。

・世界中の児童の性的搾取・虐待の撲滅に向け、G7としてさらに産業界に自主的な取組を促すことを確認しました。

セッション4:ウクライナの支援

・本セッションでは、冒頭、オンライン参加していただいたウクライナのイーホル・クリメンコ内務大臣から、戦禍の過酷な環境下での法執行機関の活動の現状等について説明がありました。

・これを受けて、松村国家公安委員会委員長からは、日本警察としてこれまで、ウクライナ国家警察に対して鑑識分野での研修を実施するなど支援を行ってきたことに言及があり、現下の中東情勢がある中でも、引き続き厳しい対露制裁及び強力なウクライナ支援に取り組む姿勢に変わりがない旨の表明がありました。

・これに続いて、各国からも支援の取組の紹介があり、G7として、中長期的に治安分野でもウクライナ支援を継続することで一致しました。

G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合

セッション5:生成AIの危険性と可能性

・冒頭、国立情報学研究所の越前功教授から、生成AIの可能性や犯罪行為等に利用される危険性のほか、対処技術とその社会実装について、最先端の研究内容とともに説明いただいた上で、それらの事項に関し、参加者間で意見交換しました。

・松村国家公安委員会委員長からは、生成AIを用いた犯罪行為等に対処するため、国際的な情報共有や産業界との連携等が重要であるとの指摘があり、G7として、世界共通の利益を実現するため、G7の取組がAIの健全な発展を導くとの認識の下、治安分野においても、国際的な情報共有や産業界との連携といった取組を推進していくことなどを確認しました。

G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合