オウム真理教の現状と警察の取組について

地下鉄サリン事件から30年

~オウム真理教の変わらない本質~

 令和7年3月20日、オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年の節目を迎えます。しかし、30年が経過した現在も、教団は、麻原彰晃こと松本智津夫及び同人の説く教義を存立の基盤とするなど、その本質に変化はありません。

 警察では、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、引き続き、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、教団による組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進してまいります。

 

 オウム真理教(以下「教団」という。)は、かつて、宗教法人を隠れ蓑にしながら武装化を図り、松本サリン事件(平成6年6月27日)、地下鉄サリン事件(平成7年3月20日)等、数々の凶悪事件を敢行しました。

 

 

【オウム真理教による主な事件】

 

 

 教団は、麻原彰晃こと松本智津夫(以下「松本」という。)への絶対的帰依を強調する「Aleph(アレフ)」をはじめとする主流派と、松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名のる上祐派が活動していますが、両派共に、松本及び同人の説く教義を共通の基盤として活動するなど、その本質に変化はありません。

 現在、教団は、15都道府県に30か所の拠点施設を有し、信者数は、その活動状況等から合計で約1,600人(出家約250人、在家約1,350人)とみられます。

 

 

【松本への絶対的帰依を強調する主流派】

 主流派は、依然として松本の「生誕祭」を開催しているほか、同人の写真を拠点施設の祭壇に飾ったり、説法会等において、信者に対して同人の「偉大性」を称賛する内容の映像を視聴させたりするなど、同人への絶対的帰依を強調して「原点回帰」路線を徹底しています。

 

【松本の影響力払拭を装う上祐派】

 上祐派は、同派のウェブサイトに「オウム時代の反省・総括」を掲載したり、上祐史浩代表がSNSを通じて松本からの脱却を強調するなど、松本の影響力がないかのように装って活動しているほか、同代表が出演するトークイベントにおいて著名人との対談を積極的に受け入れるなどして「開かれた教団」をアピールしています。

 

 

 

 主流派のうち「Aleph(アレフ)」は、SNSの利用等による非対面型の勧誘手法等を用いて、青年層を中心に接触を図り、その名称を秘匿して運営するヨーガ教室等への参加を働き掛けるなどして、新規信者の獲得に向けた活動を行っています。

 

 上祐派は、各拠点施設で開催している上祐代表の説法会や「集中セミナー」、各地の神社仏閣や自然を訪ねる「聖地修行」等の行事への参加を呼び掛けるとともに、様々なメディアを通じて、同派の活動を積極的に発信するなどして、新規信者の獲得を図っています。

 

 

 警察は、教団が無差別大量殺人行為を再び起こすことがないよう、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進しています。

 

  【警察による主な検挙事例(令和元年以降)】

 

 教団は、15都道府県に30か所の拠点施設を有していますが、拠点施設が所在する地域においては、教団の活動に対する不安感が強く、住民が対策組織を結成している地域もあります。

 警察では、地域住民の平穏な生活を守るため、教団施設周辺における警戒警備活動を行うとともに、教団の現状や警察の取組について、地域住民や地方公共団体に向けた広報活動を行うことにより、安心感の醸成を図っています。

 また、教団は、一連の凶悪事件を知らない若い世代を主な対象として、教団名を隠した勧誘活動を行っていることから、巧妙な勧誘活動の手口について、様々な機会を通じ、学校等に対して広報しています。

 

  焦点第295号-令和6年の治安の回顧と展望(令和7年3月)
    焦点第288号-平成30年回顧と展望-(平成31年3月)
       オウム真理教による一連の凶悪事件等を掲載しています。

  リーフレット「オウム真理教とは?」
    公安調査庁ホームページ