はじめに
日本には、先端技術を保有する企業やアカデミアが多数存在しています。
これらの技術には、軍事転用が可能なものもあり、その情報が国外に流出した場合、企業などの国際競争力が低下するだけでなく、我が国の安全保障上も重大な影響が生じかねません。
いまや、技術流出の防止は、経済安全保障上の重要な課題となっているのです。
警察では、この課題に取り組むため、
企業やアカデミアにおける技術流出の防止対策を支援するため、具体的な手口やその対策などを情報提供する活動(アウトリーチ活動)を推進しています。
このサイトでは、技術流出を防止する上で理解すべき「情勢」「事例」「対策」のほか、動画、パンフレットを掲載していますので、現在実施している様々な対策と合わせてご覧ください。
情勢~今、何が起きているのか
-
近年、地政学上のリスクがクローズアップされ、国際的な産業競争が激化
-
日本には、規模の大小を問わず、最先端技術を保有する企業やアカデミアが多数存在
-
こうした技術を入手して自国産業を強化したり、軍事技術に転用したりしようとする外国から狙われるように
技術流出の防止は
経済安全保障上の課題に
事例~どのようにして起きるのか
外国から企業やアカデミアの
技術が狙われる
リスクの
パターンは、
大きく3つに
分類することができます。
-
CASE.1
サイバー攻撃による
技術流出サイバー攻撃や不正アクセスによって、直接的に情報を窃取される危険性が増大
-
CASE.2
スパイ工作による
技術流出サイバー上だけでなく、人を通じて情報を窃取されるリスクが存在
-
CASE.3
経済・学術活動を
通じた技術流出合弁や企業の買収、共同研究など、合法な経済・学術活動を隠れ蓑にして情報が狙われるリスクが存在
対策①~サイバー攻撃への備え
-
STEP.1
リスク低減の
ための措置- 本人認証の強化
- IoT機器を含む情報装置の把握・各種脆弱性発見時のセキュリティパッチの迅速な適用
- 各種対策について組織内に周知
-
STEP.2
インシデントの
早期検知- サーバなどにおける各種ログの確認
- 通信の監視・分析、アクセスコントロールの再点検
-
STEP.3
インシデント発生時の
適切な対処・回復- データのバックアップの実施・復旧手順の確認
- インシデント認知時の対処手順の確認・対外応答や社内連絡体制の準備
対策②~スパイ工作への備え
個人のSNSへの
接点のない外国企業からのメッセージ、
付き合いのある外国企業の人から
「お礼」と称した
プレゼントやご馳走…
もしかしたらあなたに
近づいてくるときのサインかも…。
スパイ工作から身を守るためには
何に気を付ければいいでしょうか。
相手をよく見る
プライベートやSNSなど、普段のビジネスシーンとは異なる場面で出会った相手については、所属や連絡先などの情報を確認しましょう。
立ち止まって
考える
SNSなど、不特定多数の人の目に触れる場所に個人情報を記載する時は立ち止まって慎重になりましょう。
相手からの贈り物は、後からあなたに情報提供を要求するきっかけになるかも。一度立ち止まって慎重になりましょう。
共有する・
相談する
ささいなことでも上司や同僚に共有・相談しましょう。不審に思うことがあれば、警察にも相談してください。
対策③~経済・学術活動における備え
外国企業との合弁企業の設立、
共同研究の実施などは、
意図・予測していなかった
技術流出を招くリスクも秘めています。
このようなリスクを回避するため、
何に気を付ければいいでしょうか。
相手・書類を
よく見る
取引などの相手方となる外国企業をよく確認して下さい。
技術流出のリスクを認識し、契約書などの記載内容もよく確認してください。
立ち止まって
リスクを把握する
外国への技術の提供につながる行為や活動については、一度立ち止まり、リスクを踏まえた検討を行って下さい。
共有する・
相談する
機微な技術や営業秘密の提供を含む取引については、関係部署などに情報共有・事前相談をしてください。
不審な動向があれば関係機関や警察に相談してください。
動画コンテンツ
情勢や事例などをわかりやすく
紹介していますので、ご覧ください。
令和7年1月公開
- 企業編New
- 企業の技術情報流出のリスクと対策とは。
- アカデミア編New
- アカデミアの研究成果流出のリスクと対策とは。
令和5年11月公開
- リスク編
- あなたは今、経済安全保障上のリスクに直面しています。あなたの会社や研究機関が狙われる「技術流出」のリスクパターンとは?
- 対策編
- 「技術流出」に、どう対処すべきか?3つのSを守ることで、リスクを軽減できます!
令和4年9月公開
- 情勢編
- 国際情勢や日本の現状。なぜ今、「経済安全保障」がキーワードとなり、技術流出の防止のための対策が必要なのでしょうか。
- 事例編【企業】
- 企業の研究開発部門で働く社員が、ある日SNSを通じて出会った外国企業の社員との交流をきっかけに技術情報を要求され、不正競争防止法違反事件で逮捕されることに。外国からの甘い誘い。あなたは大丈夫ですか? 事例を基にしたストーリー(フィクション)です。
- 事例編【研究機関】
- 研究活動においても、オープンな研究環境を悪用した様々なリスクが潜んでいます。外部との交流を「遮断」するのではなく、様々なリスクを認識した上で、対応することが重要です。これまでの努力や研究者自身を守るためにも。 事例を基にしたストーリー(フィクション)です。 ;