クロスボウの威力について
令和4年3月15日、クロスボウの所持を原則禁止とし、所持許可制を導入することなどを内容とする銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律が施行されます。
規制の対象となるクロスボウの威力
改正法では、矢の運動エネルギーの値が「人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上」となるクロスボウを規制対象としており、その運動エネルギーの値は、内閣府令において、6.0ジュールとされています。
一般に販売されているクロスボウは、その性能を示す目安として、メーカー等によりドローウェイト(弦を引く重さ。単位はポンド(lb.))や矢の速さ(単位はFPS(フィート毎秒))が表示されている場合があります。
警察庁において、メーカー等が表示しているドローウェイトの値(公称値)が小さいクロスボウについて、発射される矢の運動エネルギーを測定した結果は以下のとおりです。
玩具を除き、市販されている製品では6.0ジュール以上の値が示され、全て規制対象のクロスボウであることが確認されました。
矢の威力の測定結果
全長
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全幅
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メーカー等による公称値(※1)
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警察庁による実測値(※2)
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ドローウェイト
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矢の速さ
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矢の速さ
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運動エネルギー
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ピストルクロスボウ (滑車なし) |
製品A | 31.9cm | 43.3cm | 50ポンド | 150FPS (約45.7m/秒) |
39.2m/秒 (9.5gの矢を使用) |
7.3ジュール
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製品B | 32.5cm | 43.2cm | 50ポンド | 150FPS (約45.7m/秒) |
43.0m/秒 (9.5gの矢を使用) |
8.8ジュール
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製品C | 50.4cm | 42.3cm | 50ポンド | 210FPS (約65.5m/秒) |
47.8m/秒 (9.5gの矢を使用) |
10.8ジュール
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製品D | 50.4cm | 42.3cm | 50ポンド | 210FPS (約65.5m/秒) |
48.7m/秒 (9.5gの矢を使用) |
11.2ジュール
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フルサイズクロスボウ (滑車なし)
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製品E | 76.5cm | 67.3cm | 29ポンド |
- | 30.0m/秒 (30.5gの矢を使用) |
13.8ジュール
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ピストルクロスボウ (滑車あり) |
製品F | 31.5㎝ | 32.5㎝ | 28ポンド | 140FPS (約42.7m/秒) |
43.5m/秒 (7.0gの矢を使用) |
6.6ジュール
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製品G | 28.7㎝ | 28.3㎝ | 28ポンド | 140FPS (約42.7m/秒) |
47.6m/秒 (6.6gの矢を使用) |
7.5ジュール
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クロスボウタイプの玩具 (吸盤付の矢が付属していたもの) |
製品H | 74.7㎝ | 60.5㎝ | - | - | 16.4m/秒 (10.8gの矢を使用) |
1.5ジュール |
(※1)メーカー等が当該クロスボウのドローウェイト及び矢の速さとして表示している値。
(※2)警察庁科学警察研究所において当該クロスボウを用いて矢を複数回発射したときの矢の速さ及び運動エネルギーの平均値。
矢の運動エネルギーの算出方法
クロスボウで発射する矢の運動エネルギーは、次の式により算出します。
クロスボウで発射する矢の運動エネルギーは、使用する矢の種類、重さ、クロスボウの構造との相性等の様々な要素により影響を受けますが、そのクロスボウが発射できる矢のうち、最大の運動エネルギーとなる矢の運動エネルギーの値をもって規制対象となるかを判断します。